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2006.08.27

「乱飛乱外」第2巻 婿入り作戦大乱闘

 戦国ドタバタ忍者アクション活劇ラブコメ(?)「乱飛乱外」第二巻の登場です。何の取り柄もない少年が、ある日突然美女美少女に囲まれて…という漫画は、現代を舞台にしたら山ほどありますが、戦国時代を舞台にしたのはちょっとしたコロンブスの卵、という印象で、そちらの要素ばかり目がいってしまうかも知れませんが、この第二巻は、時代劇として、ドラマとして、実に面白い内容となっていました。

 この巻のメインとなるエピソードは、近江の国は相良城主の娘・ひばり姫への、主人公・雷蔵の婿入りアタック作戦。かつて滅んだ刀家の生き残りである雷蔵を、よその大名に婿入りさせてお家再興の足がかりに…という作戦の第一弾ですが、当然のことながらこれがスムーズにいくわけがない。

 雷蔵の押し掛け配下たる三人のくノ一(約一名例外アリ)の芝居で、首尾良く姫の用心棒役に収まった雷蔵ですが、元々が心優しきお人好し、疑うことを知らない姫を騙すという良心の呵責に苦しむことになりますが、これは序の口。
 ひばり姫は、芝居でなくお家乗っ取りを企む一党に狙われ、当然のことながら雷蔵たちも命がけの綱渡りを演じることになります。
 が、そんな中で、雷蔵は、城主代わりに家中のアイドルとして超ハードスケジュールをこなす姫の等身大の素顔を見て、彼女を守るために身を投げ出す覚悟を固め、一方姫も、自分の理解者であり頼もしい勇者である雷蔵に胸をときめかせて、二人の中は急接近!? …が、そのままうまくいくわけがないのはある意味当然、お家乗っ取り派に最初の芝居のからくりを暴かれた上、姫暗殺を狙った謀反人として雷蔵たちは地下牢につながれて絶体絶命の危機に。

 そして――ここからの盛り上がりが素晴らしい。事破れた上は、さっさと逃げ出して次の国へというくノ一たちに対し、雷蔵は、いまや一人ぼっちで命すら狙われている姫を見捨てるわけにいかないと力強く宣言、思わぬ、しかしナイスな手段で牢から脱出、今まさに逆臣たちに姫が命を奪われんとした場に乱入!
 あとはもう、往年の東映時代劇もかくやという(ごめんちょっと言い過ぎた)痛快大活劇、各人がそれぞれの能力を活かしての大活躍も痛快な上に、遂に正体を見せた謀反の仕掛人があっと驚く人物で、史実への目配りを見せてくれたのも心憎い仕掛けでありました。

 で、めでたく姫は救われ、晴れて雷蔵と姫の祝言が…と、うまくいくかどうかは伏せますが(バレバレですな)、ここでの雷蔵の選択は、くノ一たちならずともバカバカバカ!
と叫びたくなるものではあるものの、しかしそれは彼が姫を見捨てず立ち上がった心と表裏一体のものであるところが、物語構造として面白く、また深いものがあって唸らされました。

 ほぼ一巻丸々のあらすじを書いてしまいましたが、それだけ面白かったこの第二巻、ギャルゲー的な表面にとらわれず(もちろんそういう要素もバッチリですが)、できるだけ多くの人が手にとって、楽しんで欲しいな、と思います。


 …と、話の流れで書きそびれたのですが、第二巻冒頭のエピソードでは、雷蔵に仕える(はずの)第四のくノ一・みずちが登場。これがまた、宿敵に寝返るほどお金好きのロリっ子で、しかもくノ一の一人でヒロイン格(…なのにようやく今名前が出せましたな)のかがりにほとんど百合チックな感情を抱いているという、キャラが立っているにもほどがあるキャラクターでした。
 冒頭で顔を出したっきりまたどこかに行ってしまったのですが、再登場時にはまた大変なことになるでしょうな。


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コメント

2巻まとめて読みましたが、ストーリーの丁寧さと、各キャラクターの異常とも言えるほど木目細かい表情(感情)描写が出色で、読者を作中に引き込む力の強い作品だと思いました。

それにしても謀反の仕掛け人ってば、昨今はメディアを問わず、ありとあらゆる作品で読者をあっと驚かせる道化的存在になってきましたね。

投稿: 伯爵 | 2006.08.31 02:58

伯爵様こんにちは。

この作品、単なる萌え狙いの漫画ではなく、ドラマとしてしっかり構成されているので、思わず力を入れて紹介してしまいました。

あの人物は、文武両道な上に前歴は微妙に不詳、結末は派手と、史実の時点で既においしい人物ですからね。

投稿: 三田主水 | 2006.09.01 01:35

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受信: 2006.09.11 13:34

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