« 「美男狩」 時代伝奇小説の魅力をぎゅっと凝縮 | トップページ | 「獣兵衛忍風帖 龍宝玉篇」第一話 「かくれ里無惨」 »

2006.08.30

「仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼 DC版」 一本の映画としての再生

 だいぶ前にDVDを入手していたのに今頃紹介するのも何ですが、ちょうど今、今年の劇場版ライダーが上演されているし丁度いい(そうか?)ということで、「劇場版仮面ライダー響鬼」のディレクターズカットを。

 劇場公開版については、既に感想を書いており、基本的なものは、その際からあまり変わっていないのですが、やはり時間の都合でカットされていたシーンが復活したのは、一本の映画として見た場合、非常に大きかったな、という印象です。
 ざっと見たところ、復活したシーンは、鬼たちの心情描写が中心。これがまた、さりげなくも重要なシーンばかりで、正直なところ、何故これを切りますか、という印象。
 確かに子供向けの特撮アクション映画として見た場合、プライオリティが低くなる部分ではあるかと思いますが、純粋に独立した一本の作品としてみた場合、キャラクター造形を深める点において、切るにはもったいないシーンでありました。
(本作の脚本を担当した井上敏樹が、「俺様のの見事な脚本を切りやがって」とか何とか言っていたというネタ臭い話を聞きましたが、それもうなづけるかと。それにしても、わずか数秒・数分のシーンを復活させるだけでぐっと物語の奥行きが変わって見えるというのは、裏返せばそんな短いシーンにきっちりと書き込みが為されているということで、やはり敏樹はすごいや)。
 劇場版公開直後に、ドラマ面に対する不満の声も聞こえてきましたが(まあ、あの当時の評判は色々バイアスがかかっているのでナニですが…)、この形であれば、そうした声はかなり小さかったのではないか、と非常に勿体なく感じました。

 劇場公開版で最も不満だった、描かれなかった歌舞鬼の最期のシーンもきちんと復活しておりましたが、これがまた重要なシーン。予想外にあっけなくはあったのですが、しかし、歌舞鬼というキャラクターの存在を全うさせるにあたって重要かつ印象的な場面であり、これが上映されなかったのは、返す返すも残念なことでした。
 本作が時代劇として描かれることの意味、必然性については既に書きましたが、その点からも歌舞鬼の存在は重要であり、最期まできちんと描ききって欲しかった…と強く感じたことです。

 何はともあれ、復活したシーンにより、物語の深み・厚みが(勿論特撮ヒーロー映画という枠の中ではあるかもしれませんが)増すこととなった本作、さすがに全く元番組を知らない人にまで薦めるのは厳しいかも知れませんが、余計なこだわりなく元番組を楽しめた人なら勿論のこと、一年前に劇場公開された作品に不満を持った方にも――いや、そんな方にこそ――見ていただきたい作品です。


 ちなみに蛇足を承知で書くと、歌舞鬼と並んで本作の実質主役であった(戦国パートの)明日夢少年の感情剥き出しのキャラクター描写は、演じる栩原楽人の熱い演技もあって実に印象的でした。TVではニマニマしている表情が印象に残っているキャラクターだけに、より一層そのように感じられたのかも知れませんが、やはり役者さんは凄いですね。


「劇場版 仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼 ディレクターズ・カット版」(東映ビデオ DVD) Amazon

関連記事
 「劇場版 仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼」 仮面ライダー戦国世界を駆ける

|

« 「美男狩」 時代伝奇小説の魅力をぎゅっと凝縮 | トップページ | 「獣兵衛忍風帖 龍宝玉篇」第一話 「かくれ里無惨」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/11675808

この記事へのトラックバック一覧です: 「仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼 DC版」 一本の映画としての再生:

« 「美男狩」 時代伝奇小説の魅力をぎゅっと凝縮 | トップページ | 「獣兵衛忍風帖 龍宝玉篇」第一話 「かくれ里無惨」 »