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2006.09.19

今月の「コミック乱ツインズ」 黄金時代復活間近?

 リイド社の「コミック乱ツインズ」誌、ここしばらくはちょっと内容的に低調かな…と思っていたのですが、石川賢の新連載も好調で、私的な黄金時代(「丹下左膳」「慈恩」「たまゆら童子」「真田十勇士」「黒田・三十六計」が揃い踏みしてた頃。しかし前三作はまともに単行本化されていないのはどうしたわけか!)ほどではありませんが、ずいぶん面白くなってきました。

 さて、連載第三回の「戦国忍法秘録 五右衛門」は、ストーリーはほんのちょっと進めつつ、後はアクションでバンバン押していくというなかなか理想的なパターン。五右衛門の火術で木っ端微塵となったかに見えた雀丸ですが、無数の鳥を盾にして生存。さらに触れずして相手を斬る、いかるが忍法「斬撃剣」を操る蘭丸まで登場。凄まじい間合いの長さの攻撃をいかにして破るのか!? と思いきや、五右衛門の取った手段があまりにもプリミティブな上に石川賢らしくて爆笑。結局、折角の美形ぶりにもかかわらずあまりにも悲惨な扱いを受けた蘭丸の倒され方に、これまた大いに笑わせてもらいました。
 そしてラストは、信長が天下布武のイケニエとして伊賀者を殲滅させると聞いて、五右衛門が怒りを燃やすところで〆。
 前から思っていましたが、五右衛門はビジュアル的にもキャラクター的にも、ゲッターで言えば竜馬と武蔵を足して二で割ったような存在でなかなか良い感じだと思います(隼人は…ビジュアル的には服部半蔵だけど、この漫画では常識人すぎてイカン)。

 順番が後先になりましたが、巻頭カラー&表紙は「泣く侍」。一般人に化けた刺客たちに痺れ薬を盛られ、既に立つことすらままならない主人公・物辺の運命やいかに、というところでしたが、悲惨な運命の前に心を閉ざした姪を救うため、凄まじいまでの情念で立ち上がり、滂沱と涙を流しつつ血刀を振るうシーンには唸らされました。いやはやまさに「泣く侍」です(でもその後の暴走ぶりが恐ろしくて、却ってもっと心を閉ざしそうな)。
 物語的には、物部に意外な助っ人が現れて次回に続くですが、あんまり味方ができるとちょっと残念(ひどい)。
 ちなみに本作のある意味主役の狂刃・伊藤清之進(こちらを参照。どこのwikiかと思ったら…)は、本編には登場しませんでしたが、表紙にはしっかり姿を現していてちょっと嬉しかった。

 そしてセンターカラーは、完結間近の「真田十勇士」。いよいよ運命の慶長二十年五月六日、後藤又兵衛・薄田隼人・木村重成の三勇士が揃って壮絶死を遂げます。まさに血笑というべき表情を浮かべて死にゆく三人の最後の大暴れに、大坂城で夢と知りつつ、昏い瞳で勝った後の戦後処理を語る秀頼と、それを真に受けて無邪気に喜ぶ大野修理の姿を重ねて描くのには脱帽しました。「いや――……束の間の夢よ……!!」の言葉が重く残ります。
 一方、猿飛佐助と甲賀頭領・村雲天童の決戦は、一瞬の差が生んだ意外な幕切れに。そして既に死生を超越したかのような霧隠才蔵は、佐助に別れを告げ、一人自らの戦場へ――
 連載開始時は、正直なところ長大な原作のラストまで描ききれるのか、と思いましたが、きっちりと完結させてくれそうで楽しみです。

 もう一作印象に残ったのは、「天涯の武士」。小栗上野介の生涯を描くこの作品、連載開始の頃から読んでいますが、正直なところ結末が何となくわかってしまうので(いや、史実だから当たり前なのですが、どういう演出になるかという点で)あまり注目していなかったのですが、今月号のラストが素晴らしかった。
 上野介に心酔し、遂に藩を裏切ってまで彼の密かな護衛となった薩摩の人斬り・宮里が、あてどなく江戸の町を往く中、「ええじゃないか」の群衆の狂乱に出くわして…というシーンなのですが、宮里のみ通常のタッチの一方で、その周囲で踊り狂う群衆はラフな筆絵で描かれており、その狂乱の圧倒的なパワーと同時に、時代の流れから取り残された宮里の――そして同時に上野介の――姿もくっきりと浮き彫りにしているようで、絵の力、というものを感じさせられた次第です。

 次号は「黒田・三十六計」も掲載されるようなのでこちらも楽しみです。

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