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2006.09.26

「獣兵衛忍風帖 龍宝玉篇」第八話 「煉獄昇天」

 峠に出没するという化け物。それは以前、弟・邪視と共に獣兵衛らを襲った鬼門衆のくの一・煉獄だった。一人峠を行く獣兵衛を襲う煉獄は、本来の任務である宝玉奪取を忘れ、弟の仇である獣兵衛抹殺のみに逸る。が、それでも獣兵衛に敵わない煉獄は、ヒルコ忍者・蛇蝎との取引で、彼の能力である猛毒の尻尾を得る。用済みの蛇蝎を殺害した煉獄は三度獣兵衛を襲い、遂にその尻尾が獣兵衛を貫いたかに見えたが――皮肉にも尻尾は彼女が無視した宝玉に受け止められていた。獣兵衛に両腕を断たれ取り残された煉獄は、邪視への想いに酔いながら、鬼門衆頭領・闇泥の手で塵と還るのだった。

 とにかく煉獄の狂いっぷりが凄まじいエピソード。胸から出てくる無数のメスで、他者から切り取った手足を自在に移植するという能力の持ち主(自分以外にも使えるらしく、野良犬の背中に人間の男の首などという悪趣味なものも登場)で、獣兵衛に復讐するために強者の腕を次々と奪って取り付ける様はかなりうそ寒いものがありました。
 さらに一度獣兵衛を襲って敗れた後、傷ついた顔半分に蛇の皮を縫いつけるシーンや、邪視への想いに酔った状態で熊穴に入り、熊に抱きしめられるシーン、さらに熊にやられて壊れた腕を刀で自ら切り落とすシーンなど、鬼気迫るものがありました。人体改造にフリークスに近親相姦と、こりゃ地上波では放送できませんな。ここまで狂ったことをやられると、突き抜けすぎてもうギャグにしか見えなくなる部分も。

 が、そんな「悪趣味」の一言で片づけられないこのエピソードを救っていたのが、煉獄役の横尾まり氏の熱演。失礼ながら氏は、それほど演技に幅がある方とはこれまで思っていなかったのですが、煉獄という特異なキャラの持つ怖さ・狂気・哀しみ・切なさといったものを巧みに織り込んだ声の演技で、大いに感心、認識を改めました。
 と、煉獄のシルエットはほとんど蜘蛛だなーと思っていたら、大名作でありオリジナルと同じ川尻監督の「妖獣都市」の蜘蛛女役をやってらしたのか。これはちょっと面白いですね。

 なお、これは最終話の後に書こうと思っていたのですが、本作は毎回のゲスト忍者役の声優が非常に豪華。しかしそれが単に人気のある人を集めたというわけでなく、みな実力派揃いであって、基本的に一話限りで散っていくゲスト忍者たちのキャラクターに、一定の厚みを与えているのには感心させられます(その一方で、脚本や演出の方でのキャラ立てが今ひとつ、という面もあるわけですが)。
 …などと書いたものの、今回初登場の闇公方の声が広井王子で大いにびっくり。これはこれで似合っていたのですが、これは何かの暗喩なのだろうか、と思ったり。

 それにしても獣兵衛のカマイタチは相変わらず卑怯なほどの強さを発揮。タメは必要なようだけれども基本的にガード不能の必殺技なわけで、これが格ゲーなら大会での使用禁止令が出されそうな強さであります。今回煉獄は、蛇蝎から奪った腕で獣兵衛の斬撃を受け止め、腕に刀を食い込ませるという戦法でカマイタチを封じますが、これはなかなかの好判断だったかと思います。ベタなオチの前に敗れてしまいましたが、これは一種伏線もあったことなのでOKでしょう。


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