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2006.09.30

「暴れ影法師 花の小十郎見参」(再録)

 幕藩体制が確立しつつあった元和年間、佐竹藩にも幕府の外様大名潰しの手が伸びようとしていた。その危機を打開すべく選ばれたのは、知略縦横、剣の腕前も柳生宗矩を凌ぐ傑物でありながら、その横紙破りな言動で周囲を悩ませるかぶき者戸沢小十郎。藩の命運など知ったことではないが、幕府を相手の大勝負は面白い…と立ち上がった小十郎は、土井大炊頭や大久保彦左衛門を味方につけての大博打に乗り出す。

 久々に痛快な作品を読みました。タイトルこそ古の明朗時代劇的なこの作品ですが、展開されるのはむしろ企業小説的なストーリー。外様潰しの奔流が止められないのならば、その流れる先を変えてしまえばよい…という小十郎の作戦は、諜略陰謀何でもありで、一歩間違えれば非常にじめじめした物語になりかねませんが、そこがむしろ野放図というか豪快というべき味わいになるのが小十郎のキャラクターといったところでしょうか。小十郎がいささかスーパーマンすぎる面もなくはないですが、それはまあご愛敬というべきものでしょう。
 そしてその小十郎の作戦の果てが、ある有名な伝奇的事件につながった結末には大いに驚かされた次第です。

 ちなみにこの小十郎、広げる風呂敷のあまりの大きさに、周囲からはしばしばホラ吹き呼ばわりされるのですが、むしろ自分の実力やその時々の局面を冷静に捉えて行動を起こすリアリストの印象を受けました(尤も、アドリブの天才でもあるのですが)。むしろ状況を把握できていないのはホラ吹き呼ばわりする周囲の方で、その辺りの皮肉さがなかなか面白く感じられたことでした。
 このキャラクターをこの一作で終わらせるのは何とも惜しい…と思っていたら続篇、続々篇もあるとのことで、大いに楽しみです。


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