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2006.09.24

「伊藤彦造追悼展」に行って参りました

 昨日は弥生美術館「伊藤彦造追悼展 天才絵師100年の軌跡」に行って参りました。伊藤彦造先生と言えば、凄絶妖美とも言うべき、殺気と妖気溢れる画風でファンも多い挿絵作家であり、鞍馬天狗の「角兵衛獅子」、「修羅八荒」、その他吉川英治の初期の伝奇もの等で、素晴らしい挿絵を描かれた巨匠であります。

 当然私も大ファンで、これまでも何度か弥生美術館で開催された彦造先生の展示会には足を運んでおり、今回も当然の如く行ってきた次第ですが、やはり何度見ても彦造先生の絵は素晴らしい。人物描写の確かさも当然ながら、登場人物が刀を振るう様、いや刀を差して歩く姿勢一つとっても、素晴らしいリアリティが感じ取れます。これは、彦造先生があの伊藤一刀斎の末裔であり、幼少の頃から父に真剣で鍛えられていたという素敵な逸話とは無縁ではないのでしょう。

 一緒に行った友達の一人(女性)も彦造ファンなのですが、彼女は実は以前弥生美術館の別の展示会に行った際、過去の彦造展のポスターを見て一目惚れ。現代の、別に特別時代劇ファンというわけでもない女性の心をも一瞬で掴んだその魔力たるや恐るべし。
 なお、彼女が見たのは「阿修羅天狗」という作品の挿絵の一枚(これ)なのですが、この「阿修羅天狗」の挿絵は、私から見ても確かに素晴らしいクオリティ。主人公二人の美青年ぶり・美少年ぶりを余すところなく描ききっていて、感嘆するほかありません(ていうかやっぱり美形はいつの時代も強いですわね)。

 展示されていた作品自体は、これまでの展示会のものとほぼ同様だったように思うのですが、新たに新聞記事から、実は彦造先生がデビュー前に片目を失明していたという事実が明らかにされており(それまでは戦争で負傷したものとされておりました)、いやはや、伊藤彦造伝説に、また新たな一ページが加わったか、という気持ちです。ちなみにその他の伝説は以下の通り。
・少年時代、父に真剣で薄皮一枚を斬られながら剣の修行を積んだ
・病弱だったのであまり長くないと思われ、父の計らいで芸者遊びをしたところ、長唄に夢中になって遂に名取に
・出世作「修羅八荒」の挿絵を描いていた時に、常に先祖伝来の短刀を帯び、失敗したら腹を切る積もりだった
・憂国の情を訴えるため、自分の血で神武東征図を描き、失血で何度も失神しながら完成
・透視・遠隔視能力を持ち、新聞記者時代にはその力で何度かスクープを取った(これも新ネタ)
いろんな意味で大好きです、彦造先生。彦造だけはガチ。

 なお、この展示会と時期を一にして、河出書房新社の「伊藤彦造イラストレーション」が、新装・増補版で出版されました。ファンを名乗りつつも誠にお恥ずかしいことに、以前の版は手に入れ損なっておりましたので、もちろん今回はしっかり手に入れました。家宝にします。


 ちなみに彦造展を見た後は、友達と別れてmixi経由で集まった時代小説オフ会へ。私以外ほぼ全員業界の方という恐ろしい会で、私はほとんど驚き役に徹していましたが大変に面白い会でした。ネットでは書けないような話ばかりで残念。


「伊藤彦造イラストレーション」(河出書房新社) Amazon bk1

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