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2006.09.14

「ライジングザン ザ・サムライガンマン」 バカカッコよさここに極まる

 今日に発売されるプレイステーション2の「ゴッドハンド」というゲームが、ちょっと気になっているのですが、西部(っぽい舞台)にバカカッコいいキャラクターとアクションというと、どうしても思い出すのはプレイステーションの伝説的作品「ライジングザン」。サンじゃなくてザン(斬)。神秘の国ジパングでの修業で無敵の武術を身につけたスーパーウルトラセクシィヒーローが大暴れする、刀と銃の大冒険西部劇バカアクションであります。

 時は大西部開拓時代。保安官見習いの青年ジョニーは、謎の悪人の一団と戦うも、敵の幹部の一撃に深手を負ってしまった! 瀕死の彼を救ったのは、ジパングから来たニンジャ・マスター「スズキ」であった! スズキと共にジパングに渡ったジョニーは、修業の果てに刀術+射撃術という流派「生涯無敵流」に勝手に開眼! ジョニーの名を捨てた彼は、自称「スーパーウルトラセクシィヒーロー」ザン(斬)として故郷に戻り、謎の敵――邪火龍団に一人敢然と戦いを挑むのであった!
 …と、春陽文庫のカバー折り込みのあらすじ調に書くとこんな感じのストーリーの本作。あらすじからも微妙に狂った部分が感じられるかもしれませんが、実際にゲームをやってみるともっと大変。

 何せ主人公「斬」は、テンガロンハットにジーンズ、ロングブーツ…まではいいんですが、上半身は鎖帷子に法被(袖はフリンジで)、右手に日本刀、左手に特注ライフルという奇ッ怪な出で立ち。なんとわかりやすい和洋折衷でしょう。
 彼と対峙する、ジパングからのカラクリ武闘集団・邪火龍団も、ニンジャ・スモーレスラー・ゲイシャと「アメリカから見た間違った日本」像を体現したような狂いぶりで、日本人として同じ民族と思われたくない気持ちで一杯になります(ちなみにこいつら、字幕では普通に話しているのですが、実際のゲーム中では適当な単語を連呼しているだけ(例えばスモーチャンプは「ドスコイ!」しか喋らないとか)という妙な凝り具合です)。
 ちょっとプロモーションムービーを貼っておきますね。

 しかし本作が素晴らしいのは、設定部分というある意味字面だけのバカさだけでなく、ゲームシステム全体がザンと彼が活躍する世界のバカカッコよさに全力で奉仕している点。
 以下に本作のウリであるシステムを挙げれば――
○発動すると倍速で活動可能となり、必殺技使いたい放題の「ハッスル・タイム」
○全てのボタン連打で危機的状況(巨大相撲ロボと張り手合戦とか火炎放射器に刀一本で立ち向かうとか)を回避する全ての男子待望「漢(おとこ)イベント」。
○ステージのボスを倒した後、コインを投げあげて落ちてくるまでにコンボ叩き込み放題の「トドメ・ファイナル」

 どれも、技術的に大したことをやっているわけでは全くないのですが、一つ一つがゲームのキャラクター、ステージの雰囲気というものにピタリピタリとはまりこんで、斬の痛快かつバカバカしい活劇を盛り上げる効果を上げています。
 ことに「トドメ・ファイナル」は、影山ヒロノブがセクシィにシャウトする主題歌のサビのリフレインをバックに、これまでさんざん苦しめられたボスキャラに斬る撃つ必殺技を決めるの連打を叩き込むのが実に気持ちよく、ヒーロー気分満点。これァもう、ゲーム史上最も痛快な瞬間の一つ…というのは言い過ぎにしても、例えば高橋英樹演じる時代劇ヒーローが悪の親玉を追いつめて、何もそこまで…というくらいにズバズバズバとブッた斬る時の、そんな味わいがあります。

 正直なところ、ゲームとしてちょっと粗い面はありますし、難易度も私のようなヘタレゲーマーにとっては少々高め。バカ演出も、あまり続くとくどくなってくるという短所もありますが、それでもなお、「バカカッコよさ」のためにこれでもか、これでもかと作品に詰め込まれたスタッフの心意気というものは、十分以上に伝わってきますし、何よりもプレイしていて楽しくてしかたない作品でした。
 ただ一つ残念なのは、開発元が倒産してしまったために、続編はおろか、本作自体になかなか出会えなくなってしまったことでしょうか…(続編があれば、おそらくは敵の本拠たるジパングに乗り込んだと思われるだけに尚更残念)

 というわけで、主人公の設定(のごく一部)を除けばどこが時代伝奇なんじゃという本作ですが、個人的に最もバカカッコいい流派名と信じているところの生涯無敵流の名にかけて勘弁して下さい。

 と――今頃気づきましたが、本作、「ゴッドハンド」よりむしろ「デビルメイクライ」の先駆と言うべきなのでしょうか。
 いや、それどころか生涯無敵流こそは伝説の「GUN道」の遠い祖先なのでは!? と妄説を吐いておしまい。


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