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2006.10.22

「Destiny 桜子姫悲恋剣」 変転する運命の中で

 絶世の美女で無双の剣士、そして天真爛漫なトラブルメーカーの桜子姫と、その背の君(という名の生贄)の無頼浪人・住之江廉十郎らのドタバタ騒動を描いた「浪漫's」の続編たる本作。今回は命を狙われた青年武士を救った二人が、秘宝騒動に巻き込まれる長編活劇となっております。

 ある日、謎の刺客たちに襲われていた青年・風倉真吾を助けた廉十郎。刺客団に加え唐人拳法家にまで付け狙われる真吾に同情した桜子は、何故彼が命を狙われるのか探るため、一肌脱ぐことになります。…となると、当然それに巻き込まれるのは廉十郎をはじめとする桜子の周囲の、いつもの面々。かくてお節介で騒々しい一団は、真吾を守りつつ、その出生の秘密にまで迫っていくわけですが、さて、真吾を待つ皮肉な運命とは。

 ここで少しだけネタばらしすると(物語の開幕すぐに語られるので大丈夫でしょう)、一連の事件の背後にあるのは、中国の王家に代々伝わるという王者の証・皇帝秘文の行方。流れ流れて鄭成功の元に渡ったというその秘文の謎と、真吾が命を狙われることの関係は、もちろんここでは書けませんが、そこには時代伝奇ものとしての興趣満点であると共に、何とも切なくもの悲しい侍の世界が描き出されていて、時代小説として二重の意味で楽しむことができました。

 元より作者は中国を舞台とした歴史小説の名手。その、自家薬籠中の題材を使いつつも、それに頼りすぎることなく、日本を舞台とした時代小説としてきちんと成立させている様には、失礼を承知で言わせていただければ、時代小説家としての進歩が感じとれたことです。

 あと、さりげなく(?)ホ○ネタを織り交ぜてくるのにはちょっと感心しました。…感心?


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