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2006.10.03

「闇を斬る 風霜苛烈」 あわやシリーズ終了!?

 「闇を斬る」も、この「風霜苛烈」でもう六冊目。既に堂々たるシリーズと言えるかもしれません。前の巻で、主人公・鷹森真九郎の宿敵である鮫島家老は自滅したものの、まだまだ暗殺集団「闇」との死闘は続きます。

 この巻では、かつての闇の四神と同じ手口で座頭が押し込み強盗に遭い、その捜査に真九郎と琢磨同心が当たることになります。果たして再び闇の跳梁が始まったのか、はたまた闇の手口を真似た盗賊の仕業なのか。
 手探りの探索が続く一方、さる武家に奉公に出ていた霊岸島の材木屋の娘が身投げするという事件が。一見全く関係ないこの二つの事件の背後には、意外な繋がりが…
 そしてまた、闇とは全く異なる悪意の存在が、真九郎の周囲に思わぬ悲劇を招くことになり、意外な結末へと物語は突き進んでいくことになります。

 どうやらこのシリーズ、全体のストーリーに大きな動きがあった次の巻は、比較的静かな内容になるということなのか、上記の通り、宿敵である悪家老が滅んだ前巻に比べると、かなりおとなしめの展開となっています。
 が、それは表面上のこと、本書で描かれる悪の姿は、これまでにも増して許せぬもの。悪党は多く登場しても外道は少なかった本シリーズですが、今回登場するのは紛れもない外道で、フィクションとは知りつつ、大いに憤りを覚えました。

 そして読者よりも何よりも、外道に憤りを覚えたのはもちろん好漢・真九郎。法で裁けぬ悪に、如何にして膺懲の一撃を食らわせるのか? と思いきや、物語は意外な方向に展開、ちょっとちょっと、これはまさかこれでシリーズ終了!? と、一瞬本気で焦ってしまいました。前言撤回、おとなしいなんてとんでもない展開であります。

 などというサプライズもありましたが、遂に闇の秘密に迫る糸口も手に入り、大きな物語の流れの方も動きあり。前巻ラストのイヤな引きもあり、果たして真九郎の前には如何なる闘いが待ち受けておりますことか…楽しみに待ちたいと思います。

 なお、この巻でも闇の「真九郎定期的に襲撃作戦」は健在。要するに、定期的に刺客たちを差し向けることにより、倒せないまでも真九郎の精神を疲弊させ、心を蝕ませてやろうというものですが、地味なようでいてこれは相当効果的な作戦かと思います。なんてたって真九郎より先に読んでいるこちらの方がすっかりイヤに…あ、いや、とにかく性格の悪い作戦を思いつくものです。


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