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2006.10.08

「乱舞 花の小十郎京はぐれ」(再録)

 大御所秀忠の囲碁指南となった小十郎。御前試合で柳生十兵衛を破るなど絶好調の彼だが、土井利勝はそんな彼に京を探るという密命を授ける。紫衣を巡って幕府と禁裏が火花を散らしており、禁裏の動きや、幕府に喧嘩状を叩きつけてきた沢庵の真意を探らせようというのだ。主家である佐竹家の側室を送る旅にかこつけて京に上った小十郎は、かぶき者の技と意地でもって、事態の真相を探るのだが、そこにはこの国のあり方を巡る、驚くべき企みが進められていたのだった。

 花の小十郎シリーズ第三弾ですが、物語の展開自体は一作目に近く、マクロな政事のありようを、一個人である小十郎が痛快に引っかき回し、ひっくり返していくというスタイルとなっています。
 しかし将軍相手にも一歩も引かないような男にふさわしい相手は…と思っていたら、今回登場するのは京の都の魑魅魍魎。なるほど、さしものかぶき者としても数百年の近い歴史を持つ京の都はなかなかの大敵、さらに一代の快僧沢庵とも対峙するに至っては、相手にとって不足なしと言えるでしょう。
 クライマックスに小十郎が仕掛ける相手とその方法、そしてそれが生み出した歴史的帰結については、スケールが大きいというのも愚かで十分堪能すると同時に、小十郎にも負けない本当のホラ吹きは、この作者なのではと思わされました。

 また、個人的には、本作のもう一人の主人公とも言うべき沢庵のキャラクター像と、その壮大かつ悲壮な覚悟から生み出された企みに感心させられました。むしろ小十郎との対峙では沢庵の方に感情移入してしまったほどです。
 まだまだ不勉強なので滅多なことは言えませんが、紫衣事件について、こういう切り込み方をした作品というのも少ないのではないでしょうか。


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