« 「幕末機関説 いろはにほへと」 第一話「凶星奔る」 | トップページ | 「乱舞 花の小十郎京はぐれ」(再録) »

2006.10.07

「荒舞 花の小十郎始末」(再録)

 土井大炊頭に招かれて江戸に帰ってきた小十郎。だが江戸は辻斬りや凶暴な押し込みの横行により、騒然としていた。小十郎も着いた晩に辻斬りに出くわし、犯人かと思われた相手に刃を向けてみればそれが夜歩き中の将軍家光。事件に巻き込まれた形となった小十郎は、真犯人を捕らえるべく、牢人に身をやつして探索に乗り出す。姿無き謎の忍びとの対決、宮本武蔵との決闘を経て真相を突き止めた小十郎だが…

 希に見る痛快な作品だった「暴れ影法師」の続編。今回もかぶき者・小十郎の暴れっぷりは健在で、いきなり(知らぬこととはいえ)家光と柳生十兵衛に喧嘩を売ったり、宮本武蔵と十数時間にもおよぶ決闘を演じたりと相変わらずの豪快さです。
 横行する辻斬り・押し込み事件の黒幕の正体もなかなかに「伝奇」的で言うことなし――としたいところなのですが、正直いささか不満…というよりとまどいがあったのが事実です。

 というのも、前作の基本ストーリーは、幕府のお取りつぶしの矛先を如何に他の藩にそらしていくかという、むしろ企業小説的なものであったのに対して、今作のストーリー・趣向はあまりにも「時代小説的」。
 確かに、自分の藩を救うために他の藩を蹴落とすという相当に生臭いストーリーに比べれば、今作のような(巻き込まれたとはいえ)世のため人のため小十郎が活躍する方が読んでいて気分もいいし、面白いことは面白いのですが、何となく普通の時代小説になってしまったなあ、という印象も個人的には拭えないのです。

 もちろん、まだまだシリーズ第二作。第一作のイメージをいたずらに引きずるのは厳に慎むべきですし、ここはバラエティに富んだシリーズ展開を楽しむべきなのでしょう。むしろ、ストーリーの構造、物語の趣向に引きずられることなく、どんな世界にあっても小十郎は小十郎というべきキャラ立ちの見事さを素直に讃えるべきかもしれません。いずれにせよ、次の作品を読むのが楽しみです。


「荒舞 花の小十郎始末」(花家圭太郎 集英社文庫) Amazon bk1

関連記事
 「暴れ影法師 花の小十郎見参」(再録)

|

« 「幕末機関説 いろはにほへと」 第一話「凶星奔る」 | トップページ | 「乱舞 花の小十郎京はぐれ」(再録) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/12184222

この記事へのトラックバック一覧です: 「荒舞 花の小十郎始末」(再録):

« 「幕末機関説 いろはにほへと」 第一話「凶星奔る」 | トップページ | 「乱舞 花の小十郎京はぐれ」(再録) »