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2006.10.06

「獣兵衛忍風帖 龍宝玉篇」第十話 「ヒルコの真心」

 ヒルコの里から出奔した巨漢・魯怪は、山中で鬼門の下忍に襲われていたしぐれと獣兵衛と出くわし、しぐれを抱えて遁走してしまう。しぐれを無邪気に崇拝する魯怪だが、腹が減ると腐った物でも平気で食べる彼にしぐれは嫌悪感を抱き、彼から離れる。が、そこに現れた鬼門衆頭領・闇泥に彼女は攫われてしまう。一方、しぐれの後を追う獣兵衛は鬼門衆・飛猿を撃退するが、宝玉を渡せと現れた闇泥の光る黴の前に傷を負ってしまう。が、そこに現れた魯怪が獣兵衛を逃がして闇泥に斃され、獣兵衛たちはしぐれの後を追うのだった。

 ようやく鬼門衆の頭領と獣兵衛が対面、初対決するも獣兵衛は敗れ、しぐれが奪われてしまうという大きな展開がある回ですが、むしろ印象に残るのは魯怪のいい意味でのウザさ。髪を縦ロールにした超肥満漢で、常に何か食べてないと気が済まないというだけで相当なものですが、声を当てているのが何と林家こぶ平! これはもう存在のほとんど全要素がウザいというある意味希有なキャラなのですが…
 実のところ、なかなかいいキャラなのです、この魯怪。実に無邪気に光りの御子であるしぐれに憧れ、彼女に懐く様は微笑ましく、一心に彼女の気を惹こうと頑張る様は、ウザいながらもタイトル通り「真心」に溢れていて、これまでも少しずつ描かれていた、ヒルコ一族のしぐれに対するスタンスが、はっきりと示されており、ヒルコは単なる怪人集団ではないのね、とラスト近くにして再確認させられます。

 寡聞にしてこぶ平氏が他に声優として出演している作品を私は知らず、従って初めて声優としてのこぶ平氏に接したわけですが、上記の通り無邪気でだだっ子じみたな魯怪のキャラを見事に演じきっており、大いに感心いたしました。
 考えてみれば、ほとんど言葉のみで世界の全てを表現してみせるのが噺家さん。それだけに声でキャラクターを演じるのもお手のものかも知れませんが、やはり素直に感心した次第です。

 が、キャラは頑張っている一方で、すっきりしないのがストーリー展開。上記の通り、ラスト近く、闇泥に敵わない獣兵衛をかばって魯怪は斃れるのですが、魯怪がここまでして獣兵衛を逃がす理由(=獣兵衛もしぐれを守っていると、魯怪が理解するシーン)が、本編中はっきりと描かれていないのがどうにもこうにも。その前に魯怪と獣兵衛の交流も描けていれば、ここもスムーズに見ることができたのに…とつくづく思います。
 まあ、それ以上に、魯怪にかばわれておめおめ逃げ去った後、しぐれも追わずにその場に戻ってくる獣兵衛の姿にはかなりガックリ来たのですが(追いかけたけどしぐれが見つからず、魯怪が気になって戻ってきたのだとは思いますが)。

 どうも本作、キャストの名演に見合うだけの脚本・演出が足りない場面が散見されるのが実に勿体ないと思います。


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