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2006.11.24

「巴の破剣 驟雨を断つ」 結束強める卍巴

 剣豪小説の若き名手・牧秀彦氏の第三の必殺もの「巴の破剣」シリーズの第二巻が発売されました。部屋住みの身ながら直心影流の俊英、そして晴らせぬ恨みを晴らす仕置人である主人公・深谷真吾と仲間たちの活躍が描かれます。

 この巻も、前の巻同様、全三話構成となっていますが、標題作の「驟雨を断つ」は、江戸の道場を次々と荒らしていた天羽一刀流なる流派に挑戦状を叩きつけられた道場の代表として、流派の名誉を賭けた一戦に挑む真吾の姿が描かれる中盤までと、彼に破れて逆恨みの天羽一門への仕置きが描かれる終盤から構成されるエピソード。
 言ってみれば剣豪ものと必殺もの、二つの趣向の物語が同時に成立しているユニークな作品ですが、これは、その双方を得意とする牧氏ならではの業前かと思います。

 その他のエピソードも、いずれも興趣に富んでいるのですが、個人的に本書のベストは、過去に犯した罪の記憶に苦しむ者の姿を描いた「迎火」です。
 篤志家として知られる蝋燭問屋・蒲原屋の知られざる過去――元武士ながら、親友を犠牲にして今の地位についたという過去を持つ彼への仕置きを依頼された真吾たち。過去はどうあれ、現在は仏のように慕われ、本人も過去の所業を悔いている相手に仕置きはできるのか。そして過去の罪から逃れられぬと知ったとき、武士はどのように己を処すべきなのか。クライマックスで蒲原屋が見せた姿には、心打たれるものがありました。

 前の巻の感想にも書いたかと思いますが、牧先生の必殺ものは既に三シリーズ目ですが、それぞれでキャラクターも設定も、そしてもちろんエピソードもかぶっていないのが流石なところ。
 いよいよ結束を強める卍巴の仲間たちの今後の活躍も楽しみなところです。


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