« 「巴の破剣 驟雨を断つ」 結束強める卍巴 | トップページ | 「幕末機関説 いろはにほへと」 第八話「仇討本懐なる」 »

2006.11.25

「鋼鉄忍法帖」(再録)

 信長軍の攻撃により壊滅寸前の伊賀。未来を見ることができる「定めの霊瞳」を持つ朱鷺姫は、従者の黒之介と共に一族を率いて脱出しようとしていた。と、その前に現れた三人の常人を遙かに越えた業を持つ妖人たちにより一族は壊滅、黒之介も瀕死の重傷を負ってしまう。しかしそれは、朱鷺姫と黒之介を巻き込んだ、歴史を守らんとする“楔”と、改変せんとする“転”の死闘の始まりに過ぎなかった…

 一言、傑作です。

 時代SFの定番とも言える歴史改変もの、歴史を守る者と改変しようとする者の戦い(それにも皮肉な一ひねりがあるのですが)を描いた作品でありながら、それ忍者ものと絡めることにより、物語に一層の緊迫感とある種の哀しみを与えた手法は賞賛に値します。正直、タイムトラベラーの孤独と忍法帖バトルの悲壮感が、これほど馴染むものとは思いませんでした。

 確かに、忍法描写(解説)が山風のそれそのままだったり、時空構造の概念が長谷川裕一の「クロノアイズ」のまんまであったりという点はありますが、それもご愛敬、と済ませてしまって構わないでしょう。
 ネタバレにつながりかねないので詳しく書けないのがもどかしいのですが、伏線の張りかたといい一人一人のキャラクターの設定といい、これでデビュー二作目とは思えない巧みさで、まさに一読巻を置くあたわず状態でした。
 これはお勧めです。本の帯の煽り文句もいい感じですね。

 あ、黒之介→Chronosか…。今になって気づいた。


「鋼鉄忍法帖」(松谷雅志 ソノラマ文庫) Amazon bk1

|

« 「巴の破剣 驟雨を断つ」 結束強める卍巴 | トップページ | 「幕末機関説 いろはにほへと」 第八話「仇討本懐なる」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/12812310

この記事へのトラックバック一覧です: 「鋼鉄忍法帖」(再録):

« 「巴の破剣 驟雨を断つ」 結束強める卍巴 | トップページ | 「幕末機関説 いろはにほへと」 第八話「仇討本懐なる」 »