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2006.11.05

「幕末機関説 いろはにほへ」 第五話「守霊鬼放たる」

 「幕末機関説 いろはにほへと」第五話は、前回に引き続き真の仇を引きずり出すために芝居を続ける赫乃丈一座に、新たな刺客が、それも三人襲いかかることになります。さらに「覇者の首」の来歴も語られ、赫乃丈一座の復讐劇においても、耀次郎の使命においても、新たな展開が見られた回でした。

 今回耀次郎たちの前に立ち塞がるのは、中居屋重兵衛配下の五人の悪鬼羅刹のうち、残る三人。
 烏丸流小具足・烏丸九郎太
 火袁流青龍刀・劉火袁
 蜂須賀二刀流・蜂須賀彦斎

ビジュアル的にも使う武術も、いかにもいかにもな曲者揃いで嬉しくなってしまうのですが、ここで中居屋は彼らの更なるパワーアップを図ります。久々に登場した「覇者の首」…その力を自在に操る怪人・覇多冥風により、三人は人外の力を持つ「守霊鬼」なる存在へと変生させられることとなります。

 しかしこのシーンで真に印象に残ったのは、中居屋の口から語られる「覇者の首」の正体です。曰く、物語の時代から遡ること2004年前、始皇帝に弓を引き斬首された男が、この世に戦乱をもたらすべく悪霊と化したもの。その災いを呼ぶ力を恐れて、かの徐福によって日本にもたらされ、封じられながらも、玉藻前・平将門・織田信長らの手に渡り、幾度となく日本に戦乱を招いたもの――それこそが「覇者の首」だというのです。
 うむ、素晴らしい伝奇的アイテムです。玉藻前(九尾の狐として知られる人)だけちょっと浮いているような気もしますが、なかなか壮大で面白い設定です。

 ちなみにここで気になるのは、覇多冥風という名。かつて徐福と袂を分かった者の末裔という設定ですが、覇多(はた)で渡来人と言えば、すぐに浮かぶのは秦氏。秦氏はその由来に謎が多く、いわゆるトンデモ系にはしばしば顔を出す存在で、始皇帝の「秦」の末裔という説もあります。もちろんこれはこちらの勝手な連想ですが、少なくとも発想の源にはなっているのではないでしょうか。

 さて、耀次郎たちと守霊鬼の死闘が繰り広げられたのは石鶴楼。何者かが仕組んだ舞台に登った赫乃丈一座を襲う守霊鬼三人ですが――久々に登場した気がする赫乃丈のゴス着物、また赫乃丈を救ってしまった左京之介のスナイプ、何でも知っている蒼鉄先生などと面白い部分もあったのですが、折角の大アクションになるはずが…どうにも低調でありました。
 特にマズいのは耀次郎と蜂須賀彦斎のチャンバラシーンで…いや、折角殺陣のスタッフがいるというのに、vs二刀流というおいしいバトルなのに、アレはないでしょう。二刀流は二刀流なりの剣の振るい方があるはずで、それは人外の怪物になっても異ならないはず。リターンマッチの際にはきちんとした剣戟が見られることに期待します。

 と、そんな中で健闘していたのは、屋根の上での案山子vs烏丸の対決。対決というより一方的に案山子がやられていただけなんですが(というか案山子、守霊鬼よりよっぽど不死身)、他が他なだけに、迫力が目立ちました。ちなみに小具足とは、簡単に言えば小手や臑当て等、鎧兜を着る前に装着する防具のことで、転じてそのような姿で敵と戦うための素手の武術のことですが、さすがに刀相手だったら案山子もまずかったのだろうなあ。
 しかしよく見たら烏丸、ハイレグなのね…

 そしてラスト、中居屋の船にいたのは…左京之介? というインパクトのある引きでおしまい。次回は遂に芝居も千秋楽、真の仇の名を台本に載せる蒼鉄先生ということですが…名前知ってるならわざわざ芝居にしなくてもいいんじゃ。


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