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2006.11.18

「黄金の忍者」(再録)

信長の攻撃により灰燼に帰した伊賀。偶然難を逃れた青年忍者・江ノ市之丞は、百地丹波らと信長暗殺を狙うが、同志のはずの鳶尾左近の裏切りにより一味は壊滅、市之丞は捕らえられる。服部半蔵配下の忍び・矢野平九郎の助けにより安土城から脱出した市之丞は、平九郎とともに信長の家康に対する陰謀を知らせるため尾張に走るが…

 新進気鋭の忍者作家による、ハード忍者活劇。地味になりすぎることもなく、かといって飛ばしすぎて化け物同士の戦いになることもなく、近頃では珍しいほどのハードな忍者アクションを堪能できる作品です。

 が、この作品の真に見事なところはそうしたアクション描写のみならず、巧みなストーリー展開。断っておきますと、上に書いたあらすじは、まだ導入部のようなもの。その後も戦国武将同士、忍者同士の二重三重の謀略戦が続き、市之丞はいつ果てるとも知らぬ泥濘のような世界を歩むことになります。
 全く先の展開が見えぬまま周囲に振り回され続け、絶望に次ぐ絶望の果て、最後に市之丞はある「境地」に達するわけですが、そのラストの大逆転は爽快の一言。その境地は、一歩間違えると単なる荒唐無稽な絵空事になりそうなものなのですが、そこまでの道のりが非常にリアルな重さを持っていただけに、一種超越したリアルさを感じさせられます。

 作者の沢田氏はこの作品がほぼデビュー作のようですが、読みやすく達者な文体といい、ストーリーテリングの巧みさといい、何よりも作品から伝わってくる忍者もの・時代伝奇ものに対する愛情といい、相当なものを感じさせられます。注目の作家がまた一人増えたということで、全くうれしい話です。


「黄金の忍者」(沢田黒蔵 学研M文庫) Amazon bk1

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