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2006.11.12

「天保異聞 妖奇士」 説六「竜気奔る」

 「天保異聞 妖奇士」第六話は、前回の重い展開を受けてどうなるかと思えば――やはり重い中にも前向きな輝きと、そして色々とネタ成分が含まれた、なかなか面白い回となっておりました。

 前回語られた雲七の死については、特段のフェイクはなかった様子。どうやら往壓の漢神の力でかりそめの命を得ているようですが、俺にもどうなってるかわからないと汗一筋垂らす雲七の姿が愉快であります。
 が、往壓が雲七を殺したことは事実であって、その罰を受けろとお染めさんとアトルに迫られる往壓ですが…なぜアトルが、と思えば、彼女の一族が人間同士の争いに巻き込まれて、罪なくして殺されていったからなのでしょう。

 …と、今回もなかなかヘビーな展開なのですが、この辺りからだんだん怪しげな空気が漂ってきます。所変わって南町奉行所では、アトルの馬・雪輪がお白州に引き出され、その前に現れたのは鳥居甲斐守。なかなか罪を認めない雪輪に業を煮やしたお奉行様は、この桜吹雪が目に入らねえかと、ぶるわぁとばかりに啖呵を切って…ってそれキャラ違う。何はともあれ、若本規夫の声で遠山景元の真似をする鳥居耀蔵などというものがみれて、一週間の疲れも吹き飛び…はしませんが、いいものを見せていただきました。

 が、そんなことをやっているうちに雪輪が暴走、金色の龍に変化して、江戸の上空を暴れ回る羽目に。早速迎撃に向かう奇士たちですが、巫女さんルックに着替えた宰蔵は、自分の張った結界上で舞うことにより龍をおびき寄せようとするのですが――それで何故舞いがフィギュアスケートになるのだ。なんかもう、ワイルド星人が操ってる宇宙竜みたいなのが飛び回る下で、ものすごく楽しそうにすいすい滑る宰蔵の姿は実にシュールで、もし何も知らない一般人がこの光景を見たら、確実に自分の目を疑うこと間違いなしです。

 しかし、そんな戦いもむなしく龍と化した雪輪には攻撃が効かず、アトルともども南町に捕らえられた往壓たち。そこでアトルが語る、彼女が日本を目指したわけ…国を失い、放浪を続ける彼女たちアステカ(鳥居様流に言えば「あすていか」)の民が、ならず者たちの襲撃を受けたその時――そこに現れた三人の男が、日本刀を振りかざして颯爽と悪人たちを蹴散らす! …日本刀!? メキシコ柳生? いや、あまりに突然だったので、鳥居様が啖呵切り出したのと同じかそれ以上にインパクトのあるシーンでした。

 …などと不真面目な感想はともかく、実に印象的だったのはその後の…今回のエピソードのラストシーン。暴走した雪輪…ケツアルコアトルを異界に帰すため、自分の身を生贄にするというアトル。南町側はもちろんのこと、奇士たちもそれを止めぬ中、ただ一人往壓のみは、もう一度、ケツアルコアトルと戦うことを決意(この時、止めようとする小笠原様に向かっての「奇士の務めだろうこれが!」の台詞がイイ)します。妖夷の出現には人の心が関わる。ならばそれを生み出した人間を殺せば全てが済むのか。奇士の役目は「ひとごろし」なのか。雲七が笑顔で見守る中、自分に出来ること――妖夷を倒すことをするために立ち上がる往壓の姿は、まさにヒーローと呼ぶに相応しいものであったかと思います(またこの台詞からEDに雪崩れ込んでく流れがいいんだ)。
 前回あんだけ放蕩無頼を尽くした挙げ句、雲七を殺した男が言うことか、という気がしないでもありませんが、しかし、そんな彼だからこそ、「ひとごろし」を拒否して、救える命を救おう、今自分に出来ることをやっていこうという言葉が重く、説得力を持つのではないかと思います。
 往壓が戦う理由としても、以前のほかにやることがないから、という消極的なものから、非常に積極的なものになってきて実に良い感じです。

 何はともあれ、今回は重たいストーリーに、ネタっぽい演出という、(個人的には)なかなか理想的なバランスで、これで妖夷との戦いをガッチリ描いてくれれば、もう満足です(あと、いい加減アビとえどげんは牽制係から脱皮していただきたい)。
 そして次回では、一連のアトル、そして雲七絡みのエピソードに決着が付く様子。アトルはともかく、雲七は消滅フラグが立ちまくっているような気がして非常に心配ですが――

 あ、でもさすがに39歳男のSDはどうかと思いました。


 も一つおまけ。うちのサイトでの天保十四年の年表。他のフィクション作品も掲載しているのでワヤですが、武江年表によれば、今回のエピソードは旧暦二月六日の事件のようですね。


関連記事
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 「天保異聞 妖奇士」 説二「山の神堕ちて」
 「天保異聞 妖奇士」 説三「華江戸暗流」
 「天保異聞 妖奇士」 説四「生き人形」
 「天保異聞 妖奇士」 説五「ひとごろしのはなし」

公式サイト

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