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2006.11.06

「天保異聞 妖奇士」 説五「ひとごろしのはなし」

 「天保異聞 妖奇士」第五話は、これまでとがらりと趣を変えた往壓の過去話。往壓が過去に人を殺しているらしい、というのは前回の予告の時点でわかっていましたが、さて誰を、そして何故殺したのか、と思えばそれは――。話の展開で言えば過去話中心の地味な回ですが、内容はかなり衝撃的なエピソードでありました。

 前回登場した生き人形の怪・ギギは、人間離れした往壓の(褌チラありの)アクションによって冒頭でお役御免。アビとえどげんのちょっとだけコミカルなシーンもあって、ここまでは普通にエンターテイメントしていて油断していたのですが…やっぱり會川昇。ビデオを撮っておいて日曜日の朝に見たのですが、いやはや、さわやかな休日の朝から腹にズーンと堪える展開で参りました。

 アトルの馬は鳥居の元に連れ去られ、後始末はゴタついたものの、まずは一件落着。アトルを匿って、またふらりと現れた雲七と昔の思い出話をしていたところにアトルが雲七を悪魔呼ばわりして包丁持って斬りかかる(って大概だねこの子も)…と、あからさまに怪しいエフェクトで消える雲七ですが――
 そこにタイミング良く(悪く)現れたのは、往壓を人殺しと呼ぶ女・お篠。雲七のかつての恋人であり、往壓とも顔見知りの彼女は、往壓が雲七を十五年前に殺したと告発します。
 そして十五年前の事件を思い出す往壓(ちなみに往壓と雲七が知り合った頃のやんちゃぶりを描くシーンのBGMが妙に軽快で楽しい)ですが――お篠さんを手込め(未遂)の上、怒った雲七に斬りかかられて思わず刺してしまったと…なんてこった。

 ネット上の感想を見ても賛否両論…というか少なくとも往壓の行動には否がとても多い今回のエピソード。僕個人の印象で言えば、己が現世に居場所がないことを理由にお篠を襲った往壓の行動には共感はできないし同情もしませんが、彼がそんな行動に出たことについては(なるほど彼の立場であればこういう考え方をすることもあるかと)理解はできました。全くもって自分勝手な行動でありますが、裏を返せば自暴自棄に命知らずに暴れ回るのと、彼にとっては同じ意味を持つ行動であったのかな、と感じます。

 一方、そんな彼に斬りかかった雲七の「怖いのは、この世が嫌なのは、あんただけか!!」「誰だって死にたくねぇ。あんたも、皆も、同じだ…」も全くもって正論。確かに人間誰だって特別で誰だって普通なんだよなと、自分のことを特別扱いして棚に上げる往壓のこともそれに怒る雲七のことも、妙に納得できてしまうのはこちらが年取ったせいだからでしょうか。
(ちなみにこの時、事前にこっそり目釘を抜いておく雲七の実戦殺法(?)にちょっと感心)

 何はともあれ、意外な往壓の過去と雲七の正体(の一部?)が語られたわけですが、さてこれがどこまで素直に受け取ってよいものなのか。お篠さんを襲ったことは事実としても、雲七を殺した記憶は本物の記憶なのか。色々と想像はできますが、今回のエピソードが全て事実だったとしても、個人的には案外納得できるものがあります。
 とはいえ、さすがに雲七は往壓の良心の呵責が生んだ幻覚、というのでは、往壓が万年モラトリアム人間からサイコさんにクラスチェンジしてしまってあんまりなので、そこは何とか一つ(というより雲七は個人的に好きなキャラなのでこんなに早く退場されると悲しいのです)。

 それにしても今回のエピソード、ヤな方向にインパクトがありましたが、これだけ取り出してみると、人情もの時代ホラーの世界なら大アリなお話で、これはこれで落ち着いて見てみるとなかなか面白かったとは思います。とはいえ、前回までの伝奇活劇とはあまりにも変わった展開の上に内容は内容なので、これァメインの視聴者層からは受けないだろうなあ…
 それに前回鳥居方に量産型妖夷が出てきた時点でも思いましたが、半年どころか一クールエンドの作品といっても信じてしまうほど展開が早くて、本当に一年やるのか、余計な心配もしてしまいましたよ。


関連記事
 「天保異聞 妖奇士」 説一「妖夷、来たる」
 「天保異聞 妖奇士」 説二「山の神堕ちて」
 「天保異聞 妖奇士」 説三「華江戸暗流」
 「天保異聞 妖奇士」 説四「生き人形」

公式サイト

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