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2006.12.14

「美男城」(再録)

 徳川の侍大将として数々の武勲を挙げた御堂主馬之介は、しかし、関ヶ原の合戦の直後に軍を捨てる。彼の向かう先は実の父、伊能盛政の治める揖斐郡日坂。自分と母を捨てた上に母を斬殺し、さらに関ヶ原では親友たる石田三成を裏切った破廉恥漢たる父を、自らの手で斬ろうとする彼が知ったのは、父の人知れぬ懊悩と、自らの意外な出生の秘密だった…

 柴錬比較的初期の、いわゆる戦国三部作の一つ。宿業を背負った美剣士というのは柴錬お馴染みの主人公ではあるけれども、この作品の主人公たる主馬之介の背負ったものは、柴錬作品の中でも屈指のヘビーさでありましょう。自らの父を斬る、斬らねばならぬという主馬之介の決意と懊悩を主軸に展開するこの作品は、伝奇性は薄め(主人公の出生は相当伝奇してますが)ですが、柴錬の持つロマンチシズムが満開で色々と唸らされました。
 柴錬作品の第一ヒロイン(ひどい言い方ですが…)としては結構珍しいタイプのヒロイン朝路と主馬之介の心の触れ合いもほほえましく、柴錬が単なる鬼面人を驚かす作品書きではないことを示す、格好の証拠と言えるでしょう。

 しかしこの作品のラストで主人公が選んだ道と、それが結果的にもたらした結末は、他の柴錬作品の主人公が選んだ道と比べると、色々と考えさせられるものがあります。

 と、この作品、「主婦の友」連載だったのか…。


「美男城」(柴田錬三郎 新潮文庫) Amazon bk1

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