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2006.12.14

「獣兵衛忍風帖 龍宝玉篇」 第十三話「青天飄飄」

 火口に転落した獣兵衛は、操られていたふりをしていた濁庵の手で辛くも命拾いしていた。一方、しぐれに王朝の秘宝への道を開かせた闇泥らを、柳生連夜率いる裏柳生が猛追。獣兵衛はその混乱の中、しぐれを追って遺跡の深奥に踏み込む。そして遺跡の深奥で、過去のヒルコの巫女の遺骸と対面するしぐれ。しかし彼女は、それ自体が秘宝と思われるほどの巫女としての超常の力を捨てることを決意する。それに応えるように遺跡が崩壊していく中、しぐれを逃がして獣兵衛は連夜と死闘を繰り広げる。…そして月日は流れ、しぐれはつぶてやヒルコの生き残りと、隠れ里で平穏に暮らしていた。彼女の見上げる青空の下――獣兵衛もまた、一人旅を続けるのだった(完)

 遂にこの「獣兵衛忍風帖 龍宝玉篇」も大団円。ヒルコはやはり前回でほぼ壊滅してしまったようですが(悲惨…)、鬼門衆と裏柳生が激突、そこに獣兵衛や濁庵も乱入して、クライマックスらしい大活劇は見応えがあって楽しめました(さすがに鬼門のどすこい侍部隊はどうかと思いましたが…「ライジング・ザン」かい)。
 ゲスト忍者の出番は前回まででしたが、それに代わって(?)闇公方のアンドロイド小姓コンビが大暴れ。終盤の登場でなかなか強さをアピールする機会がなかった柳生連夜が、正当派剣術でもってこれに立ち向かうのがひそかに嬉しかったですね。その連夜と獣兵衛の最後の対決も、無闇にテンションとパワー溢れる作画でインパクト十分でした。

 もっとも、冷静に見れば何も解決していないと言えばいない結末であるのは事実ではあります。倒されたかに見えた闇公方は影武者、残った鬼門衆頭領・闇泥と唐突に溶岩の中から復活したヒルコの長・無風(実はこの二人は兄弟であったというおまけ付き)の対決の結果は不明。そして何よりも獣兵衛と連夜の死闘の行方もまた、同様に崩れ落ちる遺跡の中でどうなったかは語られずじまい。
 さらに言えば、巫女の力を捨てたとしても、しぐれがこの先狙われないという保証はなく、投げっぱなし(個人的にはこの表現は大嫌いですが)と感じる方もいるかもしれません。

 しかし個人的には、これはこれで良い結末であったと感じています。運命の渦の中で翻弄され尽くした末に、自分が誰であっても、自分が何処にいても――自分は自分、それ以外の何者でもないと悟ることができたしぐれ。その彼女の表面的な立ち位置は何も変化していないようであっても、あたかも螺旋階段を上ったかの如く、大きな成長を遂げたと言えるでしょう。そしてまた、それが、物語の冒頭で獣兵衛が語った「どこまで行っても人は人、空は空」という言葉に呼応しているのは言うまでもありません。
 闇泥と無風、獣兵衛と連夜の対決の結果!? まあ、はっきり描かない方が想像力が働いていいじゃないですか。これは獣兵衛サーガの一ページに過ぎないのですから(個人的には、畑で働かされるつぶてが、ちゃんと金剛童子辰之助のことを思い出してくれたのがポイント高かったかな)。

 作品全体のまとめも合わせて書こうと思いましたが、長くなってしまったので稿を改めます。


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