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2006.12.23

「攘夷 幕末世界」(再録)

 血気盛んな青年侍、関谷幸四郎は、藩の英語教師スチイネルが実は醜怪な怪物であったことを知り、これを斬ってしまう。幸四郎は追われる最中、宇津々木神の顕現と出会い、世界の真実と、怪物=夷狄の正体を知る。その頃、富士山麓では怪人大神忠光が、大地の邪気を汲み上げるからくり「あるむすとろん」により、日本を夷狄の国にしようとしていた。日本を守るため、幸四郎は「攘夷」の言葉を胸に戦う。

 …一言で言えば、風忍と諸星大二郎を足して、粘液まみれにしたような電波ゆんゆんの内容。それでいてチャンバラシーン自体はいつものリアル指向のアクションのため、そのギャップはかなりのもの。もう真剣に作者の正気を疑いました(一応これより後に描かれた「明楽と孫蔵」はまともだったので、一安心)。
 そりゃ確かに開国直後は外国人を化け物みたいに思っていた人々がいましたが、それを本当に化け物(それも触手や粘液だらけで「グァッギキョェェ」とか言ってるようなやつ)にしてしまったのはいかがなものか。おまけに宇津々木神は何故かキリストを抱いた聖母の姿だし、連れているヤタガラスは天使の姿。ラストでは唐突に第二次大戦時のチベットに舞台が移って…もう最高です。

 それにしてもこの作品、上記のような部分を除いて冷静に読めば、存外真っ当な侵略ものSFという気がします。異世界からの侵略というものを当時の人間の視点から描けば、この作品のような世界となるのかもしれませんし、何よりもこの作品、「あるむすとろん」の地下で蠢く邪神といい、現世を侵食する(すり替わっていく)異界の触手持てるイメージといい、実はクトゥルー神話だったんじゃないか!? という気が非常にしているのですが…。
 いずれにせよ異次元の邪神vs地球の古き神というモチーフは非常に魅力的であり、それを時代劇でやってしまったのは賞賛に値すると申せましょう。


「攘夷 幕末世界」全二巻(森田真吾 秋田書店グランドチャンピオンコミックス) Amazon

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