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2006.12.18

「闇を斬る 孤剣乱斬」 まずは大団円

 これまで六巻に渡って繰り広げられてきたシリーズもこの第七巻で遂に完結。好漢・鷹森真九郎と、暗殺結社・闇の頭領・鬼心斎との最後の戦いが描かれます。

 真九郎に協力して闇を追っていた香具師の元締め・浅草の甚五郎の手下が殺害されるという事件が発生、時を同じくして、全く接点のない若い男女の死体が心中姿で発見されます。さらに、旗本を狙った辻斬りと火付けが続発、一連の事件の背後に闇の策謀を感じ取った真九郎は、同心・桜井琢馬と共に事件を追うことになります。

 基本的なストーリー展開は、きちんと日数を区切っての日常パートとチャンバラパートの繰り返しという、何だか育成ゲームみたいなこれまでと同様の展開(これで全七巻押し通したのはちょっとスゴいなあ)。しかしこれまでと異なるのは、真九郎と琢馬が、徐々に闇の一味を追いつめていくこと。
 堅固な堤防が蟻の一穴から崩れるように、一つの綻びから次々と崩壊していく闇の組織の姿は、シリーズ当初から読んでいて、闇のしぶとさを知っている読者としては、何だか感慨深いものがあります。
 そして次々と真九郎に襲いかかる刺客の中には、意外な、そしてあまりに悲しい顔を混じっており、シリーズのラストに一波乱を用意しています。

 しかし――正直なところ、残念なところも見受けられる本作。特にようやく明かされた鬼心斎に関しては、その狙いは(ある程度予想できたとはいえ)なかなか面白いものであったのに対し、正体の方は思ったほど迫力がある存在ではなかったのが今一つ。
 そして何より、あれだけ真九郎に粘着してきた理由が…これだけ引っ張ってオチがこれというのはさすがにどうかと思いました。その気になればもう一巻、いやもう一シリーズくらいはできそうですし、もしかしてそれを計算に入れての展開かも知れませんが、その前にきっちりとまとめて欲しかったな、と強く思います。

 とはいえ、まずは大団円。全七巻、それなりに楽しませていただきました。本シリーズでの経験を活かした、作者の新作を楽しみにしたいと思います。


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