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2007.01.02

「阿修羅城の瞳」2003年版 胸に染みるはかなき夢桜…

 「朧の森に棲む鬼」での染五郎の悪役ぶりがあまりにも凄くて不安になって(?)しまったので、DVDを買うだけ買ってまだ見ていなかった「阿修羅城の瞳」2003年版を見ました。いやはや本当に心から後悔しましたよ…今まで観ていなかったのをな! いやはや、これはすごい。
(以下、ネタバレにつきご注意下さい)

 時は文政、江戸の闇で魔と対決する特務機関“鬼御門”でも腕利きとして知られた病葉出門(わくらば・いずも)は、五年前のある事件がきっかけで隊を離れ、今は四世鶴屋南北(!)のもとで役者稼業。が、そんな彼の元に、鬼御門から追われる、闇のつばきと名乗る美女が現れます。彼女に惹かれるものを感じた出門は、かつては捨ててきた世界と関わることになります。
 が、鬼御門の側でも、出門の兄弟弟子である安倍邪空が、長である十三代目安倍晴明を謀殺。鬼のリーダー・美惨たちと手を組み、“阿修羅”を復活させようとしていたのでした。傷だらけになりながらも邪空と美惨に一度は奪われたつばきを奪還する出門ですが、しかし、彼の血を受けたつばきは、阿修羅へと転生。彼女こそは鬼たちの救い主、恋することにより阿修羅と変じる宿命の女性だったのでありました。
 阿修羅の誕生を祝うが如く業火に包まれた江戸の町、そしてその上空に浮かぶ逆しまの城・阿修羅城。全ての悪因縁を断つため、出門は阿修羅城に向かうのですが…
 以下、あまりにも感じたことが多すぎて文章にするのが難しいので、以下、キャラクターを中心に箇条書きで感想を書かせていただきます。

○ヒーローたる病葉出門を颯爽と演じたのはもちろん市川染五郎。あまりに格好良すぎた感もありますが、終盤、ズタボロになりながらもつばきを、阿修羅を求めて立ち上がる姿は実に素晴らしい。初登場時の、花道のスッポンから田村正和チックなスタイルで現れる姿も印象的でしたが、神曲「夢桜」をバックに出撃するシーンの、右手に赤い革手袋をはめるシーンが異常に格好良すぎる。

○しかし、本作のMVPは、何と言っても闇のつばきを演じた天海祐希。歌や踊りはもちろんのこと、クライマックスでの染五郎との激突でも全く見劣りしないその身体的パワーはさすがの一言。が、何よりも素晴らしいのは、阿修羅に変じてからの一つ一つの表情。愛情と憎しみ、哀しみと怨み、悦びと怒り…その全てがないまぜとなったかのような表情の全てが、阿修羅という存在に込められた女性としての業を浮かび上がらせているようでただただ圧倒されました。こればかりはDVDでなければわからなかったことでしょう。

○安倍邪空役の伊原剛志は、ただでさえ高い身長が、逆立った髪やら角やらで更に際立っていて、主人公のライバルたる存在としてきちんとキャラが立っておりました。迫力だけでなく、自分が自分であることに固執するあまり、自分を見失っていく哀しみも感じ取れました。

○十三代目安倍晴明は、飄々とした、というより、どこか自分自身の立場に戸惑っているかのような不思議なキャラクターが印象的。その一方で、晴明の娘の桜姫は、リアルあんみつ姫ともいうべきテンションの高さで、一歩間違えるとどこまでも重くなりそうな話を引っかき回してくれました。こういう時の高田聖子さんの可愛らしさは異常。

○も一人引っかき回してくれたのは、私の大好きな橋本じゅんさん演じる祓刀斎。主人公たちに降魔の太刀を与える、本来であれば重々しいキャラのはずなんですが…さすがは「髑髏城の七人」の贋鉄斎の子孫だけあってエキセントリック。というよりじゅんさんのおかげで変態度アップ。おまけに轟天のBGMに乗っての大立ち回り(相変わらず後ろ回し蹴りが素晴らしい)もあって、出番はさほどでもないのに満腹です。

○出門の第二の師として、そして鬼に魅入られた物書きとして物語を引っかき回してくれる四世鶴屋南北。この人だったら鬼に魂売っても違和感ないよなあ…と思ってしまった時点で設定の勝利だと思います。実は鬼に憑かれていただけでした、というのはなくても良かったかもしれませんが。にしてもロバート・ガルシアも老けたな…(そういうメイクです)

○劇中歌のほとんどはTaki氏が歌っているのですが、これがみな素晴らしい。静かな歌い出しとタイトルバックの阿修羅の瞳との相乗効果が印象的な「ASHURA」、次々と江戸の町の闇の中で人々が犠牲となっていくシーンを飾る「殺戮の街角」、死闘が終わった果ての解放感と哀しみの色濃い「激しい雨」、いずれも良いのですが、クライマックスの出撃シーンとラストで流れる「夢桜」が神曲すぎる。本作=「夢桜」という印象の方も多い、というかほとんどなのではないかという気がします。特にラスト、咲きほこる桜の下で流れるこの曲は、胸に染みました。

○あまり役に立たなかった脇役の鬼御門三界衆、どこかで聞いた名前だと思ったら、空の雷王・海の鳴王・陸の震王って、宇宙大帝か! さすがスパロボマガジンの人は違うぜ


 と、まとまりがなくなってしまいましたが、2003年版の感想でした。2000年版も見なくては!
 …あ、まだ映画版も見てなかった。これは見る順番間違えたか、なあ。


「阿修羅城の瞳 BLOOD GETS IN YOUR EYES」(イーオシバイ DVDソフト) Amazon


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「なぜ生で観なかったのか──」このDVDを観終わった後はいつも激しい後悔が襲ってきます…そのくらい、この舞台は衝撃的。 [続きを読む]

受信: 2007.01.03 11:05

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