« 「幕末機関説 いろはにほへと」 第十五話「秘刀共鳴す」 | トップページ | 今週の「Y十M 柳生忍法帖」 タヌキ和尚ここに極まれり »

2007.01.22

「天保異聞 妖奇士」 説十五「羅生門河岸の女」

 アトルを殺人犯として捕らえようとする火盗改の市野ら。狂斎の協力で脱出したアトルは、羅生門河岸で遊女の清花に匿われる。実は清花を愛していた市野は、彼女の元に現れ、吉原から連れ出そうとするも、その首筋に殺人事件の関係者に共通の蝶の入れ墨を見てしまう。清花のためアトルを斬ろうとする市野だが、その刃は誤って清花を斬り、その傷口から巨大な蝶の妖夷が飛び出す。妖夷を追う奇士たちの前に、自らも妖夷と化して立ち塞がる市野。が、漢神を取り出された市野は倒れ、空を舞う清花の身も崩れて消える。往壓の取り出した市野の漢神、それは「愛」だった――

○なんか吉原慣れていなさそうな小笠原様の小芝居が愉快。こういうところにキャラが見えるのはいいですね。そして前島聖天に移れと言う小笠原に、往壓がここに居ろと言ったからと逆らうアトル。おーおー可愛いね

○お馬(アトル)を救えたら自分のものと、明らかに往壓をライバル視して言い放つ狂斎。が、肝腎の往壓はアトルのことは狂斎に任せたと余裕の表情で…そんな往壓にムキになったように怒る宰蔵。同年代、それも一緒に行動することも多かったアトルのことを気遣ってのことでしょうか。若いっていいねえ

○すげえ! 一緒に二階から飛び降りながらアトルをお姫様だっこした! と思ったら思いっきり足に来たらしい狂斎。コナンはコナンでもそっちのコナンかい。

○清花の口から語られる、お歯黒どぶや投げ込み寺、羅生門河岸の存在。そしてまた語られるのは、一流になれなかった女郎の真実の姿。年期が明けても行く先のない女郎は、吉原で朽ちていくのみ…前回、あまりに脳天気な狂斎の言葉に違和感を感じましたが、やはりきちんとこの辺りは語られました。

○犠牲者の死体を調べる小笠原様。犠牲者の体内では骨も肉も混ざり合っていると。確かそれは蛹状態の蝶も…と思っていたら、本物の蛹を持ってきてちゃんと解説して下さいました。何だか小笠原様が珍しくちゃんと役に立っている気がします。そしておそらく保冷のために三方から凍りに人力扇風機で風を当てている往壓・えど・アビが妙におかしい。

○一連の殺人は、犠牲者の肉体を蛹として成長していく妖夷の仕業と推理する小笠原。妖夷の仕業であればアトルを捕らえる必要はないというわけで…丁寧な展開、面白くなってきました。おお、しかし小笠原様、アトルにはお目こぼししても、往壓が馬に近づくのはお冠のようす。焼き餅か<違います

○男に縋ることを頑なに拒否する清花。そこに訪れたのは市野…しかし捜査中だというのに清花に復縁を迫ります。自分のところに迎え入れるという市野と、それが自分のすごろくの上がりかと自嘲的な清花。何ともやるせない場面ではあります(というか、この場合単に男が情けないだけの気もするけどな)。しかし一番困るのは壁越しにこんな話聞かされているアトル…

○と、そんなことをしていながらもアトルの気配を察した市野は、清花の身代わりにアトルを殺そうとしますが、清花はアトルを庇って市野の刃に斬られ、その背中の斬り口からは美しい羽が――

○そんなことはお構いなしに少女に迫る南町の二人…と思いきや円盤雲七登場。そして馬雲七に乗って清花を追うアトルの前に現れたのは高手小手に縛られた狂斎…ってどうやって逃げ出したんだと突っ込むべきかその微妙な間抜けさを突っ込むべきか。しかしここで脳天気に外に行こうという狂斎は大きくマイナスポイント、そのまま放置プレイの憂き目に。

○どこに行けばよいのかわからないかのように、茜空を頼りなく舞う清花。それを追う奇士たちに追いついた市野はいきなり往壓に襲いかかり…その顔は蝶の妖夷に。往壓に漢神を抜き去られ一刀の元に切り倒されますが…いや、斬られたのは漢神か

○そして事件の全容とアトルのことを隠すため、全ての罪を引っ被らされた市野。その市野から引き出された漢神は、人が後ろを顧みている姿、去りゆく者が後ろに心を残している意味の…「愛」という文字でありました。

○何だかどさくさに紛れて今まで通りのアトル。狂斎の誘いも断って…アトルの心の中には異界が…ここではないどこかの景色が今なおあるのでしょうか。そして吉原の喧噪の中には新たな蝶の彫り物の女が…


 さて、題材的にどうなることかヒヤヒヤした吉原篇でしたが、終わってみれば、演出・ストーリーの面では、これまででも屈指の内容でありました。時代小説はともかく、アニメ…いやいやTV時代劇でも滅多に突っ込んだ描かれ方をされることがない吉原を題材に、よくぞここまで、と言いたくなるほどの切り込み方で、スタッフには心から敬意を表したいと思います。
 吉原の遊女たちの自由を求める想いが…というのは、それほど珍しい題材ではないですが、そこに彼女たちを一途に愛する男の想いと、さらに本作のキーワードである「ここではないどこか」を絡めることにより、より奥行きのある物語構成となっている点にも感心いたしました。
 己の中の「愛」を斬られて倒れる市野――裏を返せば彼は「愛」の力で生きていたということでしょう――と、仮初めの自由を得ながらもはかなく消える清花の姿が実に哀しく胸に迫ったことです(そしてまた、狂斎はまだまだお子様だな、と苦笑させられたり)。

 何はともあれ、人情ホラーものとしてかなりのレベルであった今回のエピソード。一体、メインターゲットはどの辺りの層なんだ、という気もしますが、私は実に面白く見せていただきました。
 …冷静に考えたら結構作画は荒れていたのですが、物語が面白ければ気にならないんだなあ。

 と次回予告…機の民って、ええっヒヲウ!? と思って公式サイトみたら、予告編のメガネ美形はマスラオさんだって!? 確かにどこかで見たメガネだと思ったら…
 確かに本作とヒヲウ戦記、メインスタッフは同じですが、本当につなげてくれるのでしたら最高です。
 しかしアビの存在、一歩間違えるとアトル以上に難しいネタだと思っていましたが、まさかこういう方向で来るとは…


「天保異聞 妖奇士」第一巻(アニプレックス DVDソフト) 通常版 限定版

関連記事
 今週の天保異聞 妖奇士

 公式サイト

|

« 「幕末機関説 いろはにほへと」 第十五話「秘刀共鳴す」 | トップページ | 今週の「Y十M 柳生忍法帖」 タヌキ和尚ここに極まれり »

コメント

三田主水さん、初めまして。
↑の『ちょっとだけ感想~』(ブログ名は『日々のたわごと』)を書いた三上藤花です。
この度はトラックバックありがとうございました。

いや~それにしても。
ヒヲウ戦記のことに触れている感想サイトさんにやっと出会えました。なにげに嬉しいです。
もしかして私一人で騒いでるの? と少しばかり不安だったもので、三田さんも感想で言ってくださっていてよかったです。

また、トラックバックなどさせてもらいに来ますので、その時にはよろしくお願いします。

追伸:申し訳ありませんが、スパム対策のためにメルアドを少し改変しています。
「bc」ではなく「dc」が正解です。

投稿: 三上藤花 | 2007.01.22 23:41

あら、メルアドが表示されないタイプだったみたいですね。
重ね重ね申し訳ありませんでした。
こっちには正式なのを書いておきます。

投稿: 三上藤花 | 2007.01.22 23:43

三上様、はじめまして。コメント&TBありがとうございます。

そちらのブログにもコメントさせていただきましたが、ヒヲウ来ましたね! ネットをあちこち回ってみても、確かに反応している人は少ないようです。
これで少しでも多くの人がヒヲウに興味を持ってくれればなによりですね。
しかしマスラオさんは若い頃あんなに格好良かったんですね…

何はともあれ、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: 三田主水 | 2007.01.23 00:45

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/13611334

この記事へのトラックバック一覧です: 「天保異聞 妖奇士」 説十五「羅生門河岸の女」:

» 天保異聞妖奇士 説十五『羅生門河岸の女』感想 [奥様はマダオ 〜ミーハーでオタクなコマダムライフ??〜]
蝶々事件のつづき。 小笠原、遊郭に来たる。 [続きを読む]

受信: 2007.01.22 02:02

» 妖奇士・第15話 [たこの感想文]
「羅生門河岸の女」 立て続けに起こる遊女殺し。火盗改は、「異人」であるということ [続きを読む]

受信: 2007.01.22 02:15

» 天保異聞 妖奇士 説十五 「羅生門河岸の女」 感想 [日々の徒然言]
――― ここで生きると決めても、もしも背中に翼があれば      もっと別の生き所があるのではないか? そう考えてしまう ―― そう考えてしまう自分が許せない ――― [続きを読む]

受信: 2007.01.22 02:25

» 天保異聞・妖奇士「羅生門河岸の女」 [瑞原唯子のひとりごと]
みんな「エドゲン」って呼んでたのね。知らなかったよ…。じゃあ、私も遠慮なくエドゲンで。今まで漢字が面倒でエドゲンと書いたりしていたのですが、いいんだろうかという迷いがあった(笑)。 アトルはまだ追われていたのですねぇ。あんなに普通に馬の世話をしていたのに、よくバレなかったものだ。本庄たちは無能ですか? 狂斎の「あの女は俺が救う」「あの女は俺の物だ」に萌えた! しかもお姫様だっこですよ。�... [続きを読む]

受信: 2007.01.22 02:31

» 天保異聞 妖奇士 第15話「羅生門河岸の女」 [のほほんホビー]
「吉原の外に行きたいの?・・・それが、あなたの心?!」 そう問いかけられた清花の成れの果て・蝶の姿をした妖夷は、無言のまま門外へ向かって飛び続け、落陽の光の中でボロボロと崩れ落ち、最後には消滅してしまうのでした・... [続きを読む]

受信: 2007.01.22 03:21

» 天保異聞 妖奇士 15話「羅生門河岸の女」感想 [月の砂漠のあしあと]
天保異聞 妖奇士 一 (完全限定生産) ★★★★★★★(10段階)時代劇でもなかなか、色街をここまで濃密に描くのはなかなかありません。『吉原炎上』とか極々限られた作品くらいですね。 それをこの時間帯にやる、チャレンジャーっぷりは評価したいところ。題材的にも、決...... [続きを読む]

受信: 2007.01.22 03:45

» 天保異聞妖奇士 説十五『羅生門河岸の女』私的ベスト3 [アホ理系青年の主張〜窓野マサミ☆アホージャーナル〜]
第15話である。話の詳細は他のブログで散々語られていると思うので省略。私はただ心に残った部分を書き綴るだけである。今回は新企画として、印象に残ったシーン、ベスト3を挙げてみることにする。とはいえ文章だけなので、本番組を見ていた人しかわからない仕様なのは相変わ...... [続きを読む]

受信: 2007.01.22 05:03

» 「天保異聞妖奇士」第15話 [日々“是”精進!]
説十五「羅生門河岸の女」吉原で発生した連続殺人事件。その謎を解く鍵として、遺体から消えた蝶の彫り物を調査する奇士たち。だが、その混乱に乗じて本庄ら鳥居の手下は、異人であるアトルを捕らえようと画策する。殺人の濡れ衣を着せられ、追われるアトル。狂斎はアトル...... [続きを読む]

受信: 2007.01.22 05:11

» 天保異聞 妖奇士 第15話 [オヤジもハマる☆現代アニメ]
サブタイトル「羅生門河岸(がし)の女」   本庄たちは連続殺人犯の濡れ衣をアトルに着せ、彼女を捕えようと動き出す。   アトルは遊女・清花に匿われるが... [続きを読む]

受信: 2007.01.22 05:34

» 天保異聞 妖奇士 #15 「羅生門河岸の女」 [マンガに恋する女の ゆるゆるライフ]
アトルに遊女殺しの濡れ衣を着せたり、 羅生門河岸でムフフンな場面を覗き見たりするから、 こんな目に遭うんですよ〜花井さん!(`ー´)クククッ もうすっかりお笑い担当ですね。  ↓  ↓... [続きを読む]

受信: 2007.01.22 07:43

» 天保異聞 妖奇士 説十五「羅生門河岸の女」 [瞳にアル世界]
さなぎは蝶へ… [続きを読む]

受信: 2007.01.22 08:42

» 天保異聞妖奇士15話「羅生門河岸の女」 [◆◇黒衣の貴婦人の徒然日記◇◆]
吉原の遊女の話は最後は悲しい結末でした。吉原で発生した連続殺人事件。その謎を解く鍵として、遺体から消えた蝶の彫り物を調査する奇士たち。だが、その混乱に乗じて本庄ら鳥居の手下は、異人であるアトルを捕らえようと画策する。殺人の濡れ衣を着せられ、追われ...... [続きを読む]

受信: 2007.01.22 08:47

» 天保異聞 妖奇士#15 いつか蝶に [三十路のオタク日記]
遊女殺しの犯人及び疫病保持者にされてしまったアトル  火盗改めの手が伸びる イマイチ反応が鈍い妖奇士達に  コナンが吼えた   俺がアトルを助ける そしたら俺の女だと    ロリコンオヤジに宣戦布告  コナンはアトルの元へ一直線   アトルの手を引き 2階から飛び降り    空中でお姫様抱っこをする荒技まで披露     無理がたたってヘタレたのが 少しおかしいが       見せ場を作った  対して�... [続きを読む]

受信: 2007.01.22 09:10

» 天保異聞 妖奇士 第15話 [おくいのなんでもdiario]
「羅生門河岸の女」 「無事救えたら、あの女は、オウマは俺のものだ」 by 周三郎 [続きを読む]

受信: 2007.01.22 15:46

» 天保異聞妖奇士 説十五~今更ながら巫女☆巫女な宰蔵~ [ギャンブラザーズ★]
「ズッコケギャンブラーのドサ回り奮闘記」からタイトル一新しました!TB毎回お世話になります今後ともヨロシクデス☆ 今回は久しくその姿を見ていない(涙)巫女さんバージョンの宰蔵を描いてみました#63899;ユキアツ以外のアヤシのキャラを書くのは初☆です。まるで..... [続きを読む]

受信: 2007.01.22 20:14

» 天保異聞 妖奇士 説十五「羅生門河岸の女」 [はざまの欠片]
「妖奇士」は話に一区切りはつくものの、いつも切ない余韻を残して終わりますね。今回の話もそんな感じでした。 本庄は吉原での一連の事件をアトルのせいにして捕らえようと画策。まったく酷い話です…。 またまたここで狂斎が大活躍。自信満々な感じがやっぱりどっかの名....... [続きを読む]

受信: 2007.01.22 22:06

» ちょっとだけ感想・天保異聞妖奇士第15話 [日々のたわごと]
 オタクのつぼを突かれてしまったため、ルルーシュから開始のはずですがシャッフルさせてもらいます。本来は妖奇士が今日最後のはずなんですけどね、こうしちゃいられない事態ですよ本当に。  オタクの血が騒ぎます。  その理由も込みでお話し致します。  ちょっとだけ感想・天保異聞妖奇士第15話『羅生門河岸の女』です。 ... [続きを読む]

受信: 2007.01.22 23:26

» 【妖奇士】説十五 「羅生門河岸の女」 [彩賀の徒然なるままに…]
今週の『天保異聞 妖奇士』第十五話。 [続きを読む]

受信: 2007.01.23 08:00

» 天保異聞妖奇士#15この世は極楽で地獄だ [帰ってきた二次元に愛をこめて☆]
羽根があっても飛べたとしても待つ人のない身であればどこへ向かえば良いのやら妖夷の文字にも”女”がひそむいかなる想いが呼んだのか女の中には魔もひそむテンチチテン、テツテントン・・・♪説十五『羅生門河岸の女(らしょうもんがしのおんな)』鳥居さんの手下の策略で...... [続きを読む]

受信: 2007.01.23 14:39

» (アニメ感想) 天保異聞 妖奇士 第15話 「羅生門河岸の女」 [ゲームやアニメについてぼそぼそと語る人]
天保異聞 妖奇士 一 (完全限定生産) 吉原で起こっている謎の連続殺人事件。鳥居の手下である本庄はアトルを犯人として捕らえようと企む。逃げ出したアトルは、お歯黒溝で清花と言う一人の遊女と出会う。そして、清花の部屋へと匿ってもらうのだが・・・。... [続きを読む]

受信: 2007.01.23 18:33

» 天保異聞妖奇士 第15話「羅生門河岸の女」 [SERA@らくblog]
それは罪か? 別の風景を求めてしまう――。 謎の連続殺人事件の続く吉原。 アトルは奇士と対立する鳥居の手下に追われ。 その逃亡先で出会ったのが遊女の清花。 吉原に望んでいると言う彼女だったが… 今回は、アトルを想う狂斎活躍の話しでしたが、もう一つの悲恋の話でもあり。 …重いテーマが出るとまたちょと辛いかも。 ... [続きを読む]

受信: 2007.01.23 23:21

» 天保異聞 妖奇士 説十五 羅生門河岸の女 [昇龍伏龍]
アニプレックス天保異聞 妖奇士 一 (通常版)エントリ記述順は前後しちまったし、もう配信も彼方此方下げられちまってるが、こっちは哀しい良い話書けてたなあと思うと、16話が首傾げる内容だったので書いとく。ちなみに江戸在住の女性比率ってのは男の半分以下しか住んでいな..... [続きを読む]

受信: 2007.02.07 06:55

« 「幕末機関説 いろはにほへと」 第十五話「秘刀共鳴す」 | トップページ | 今週の「Y十M 柳生忍法帖」 タヌキ和尚ここに極まれり »