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2007.02.17

「鬼神新選 京都篇」(再録)

 戊辰戦争を生き延びた永倉新八は、松前藩帰参と引き換えに、岩倉具視から近藤勇の首級捜索を依頼される。松前藩の少女忍者・篝炎と共に京に向かった新八だが、そこで彼を待ち受けていたのは、生きていた土方歳三、妖術を操る異国の妖尼、安倍晴明の名を継ぐ幼女、女人の肉を喰らう巨大な鬼――いずれもこの世のものならぬ出来事の数々だった。旧友・原田左之助と再会した新八は、ついに近藤の首級の在処を知るが、そこで彼が目にしたのは、おぞましくも恐ろしい魔人たちの姿だった…

 本日読了。挿絵があまりにマンガマンガしていて(実際巻末にはおまけ漫画が)敬遠していたのですが、大失敗。面白いです。いつになったら私は外見だけで物事を判断することを止められるのでしょう。と反省してしまうほど活きのよく力の入った伝奇活劇でした。

 身も蓋もない表現をしてしまえば、幕末・明治版「魔界転生」なわけですが、一気呵成に展開される剣術妖術入り乱れての死闘に怪人魔人の跳梁(“鬼”の正体は全く予想できませんでした。こりゃ一本取られました。新選組ファンは激怒しそうですが…)と、そんなつまらぬツッコミはあっという間に頭から消え失せました。

 何よりも、復活した新選組の魔人たちの圧倒的な力と、そのかつての仲間たちに一人戦いを挑む永倉新八というシチュエーションはやはり非常に熱いものがあります。強大すぎる敵に、一人傷だらけになりながらも命懸けの戦いを挑む主人公というのは、王道ではありますが、それだけにハマればこれ以上面白いものはありません。

 この先、江戸篇、函館篇と構想されているようですが、これから先の展開――同じ新選組ながら、死から怨念をもって甦った魔人たちと、幕末の世を生き残ってしまった新八の生き様の対比もあるのでしょう――が楽しみでなりません。


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