« 荒山徹 作品年表 | トップページ | 今週の「Y十M 柳生忍法帖」 さらばタコ入道… »

2007.03.19

「天保異聞 妖奇士」 説二十三「印旛沼古堀筋御普請」

 鳥居が指揮する印旛沼工事の現場から逃げてきた少年。彼は黒坊主という妖怪が出没していると語り、助けを求めるが、鳥居失脚を図る幕閣の指示により、小笠原は出動を止める。それに逆らって印旛沼に向かった往壓たちが見たのは、奇怪な蝦蟇の姿に変じた人々だった。黒坊主は工事を中止させるための嘘だったが、妖夷は本当にいたのだ。印旛沼の過酷な工事が江戸の人々を救うという現実、妖夷に変じた人を救うにはその命を奪うしかないという現実――現実に絶望したアトルの思いが異界を開き、巨大な妖夷が出現する。

 最終三部作に突入した「天保異聞 妖奇士」ですが、ちょっと期待が大きすぎたのか、個人的にはいまいち…でした。
 救いを求め偽りの妖夷を拵えてまで江戸に出てきた少年、小笠原の命に背いてまで印旛沼に向かう往壓ら奇士、誰が悪いわけでもないのに誰かが傷つく現世に絶望するアトル、自分なりの信念の下にあえて汚れ役を持って任じる鳥居――それぞれの思惑が絡み合って重厚なドラマが生まれるはずが、どうにも個々の行動が性急で説得力がないように感じられました(もっとも、その中で鳥居のみは若本規夫の名演もあって好印象でした)。

 一番苦しいのは少年の行動で…幾ら重労働と疫病に苦しめられても、身内がああなった状態で、わざわざ江戸に出てでっちあげの妖夷話を広めようとするものかなあ、と。
 黒坊主については、先日の記事にも書いたとおり「史実」ではあるのですが、それに変に引っ張られてしまったかな、という印象がありました。

 もちろん、構成的に序破急で言えば「序」の部分であり、まだあれこれ言うのも早すぎますが、打ち切りの悲しさを吹き飛ばすくらいのものを期待していた身にとっては少し残念でした。
 もっとも、次回にはいよいよ「西の者」の正体とえどげんの関わりが明かされる模様。タイトルからすればあの後南朝由縁の者のようでがその頭領・赤松は…赤松氏範の血縁? いや赤松宮(興良親王)という線もあるのかな(もっともこちらは南朝と敵対しましたが)。何にせよ、アニメ作品で後南朝が登場するとは思いも寄らぬこと、伝奇者としては大いに楽しみにしたいと思います。


「天保異聞 妖奇士」第二巻(アニプレックス DVDソフト) Amazon

関連記事
 今週の天保異聞 妖奇士

 公式サイト

|

« 荒山徹 作品年表 | トップページ | 今週の「Y十M 柳生忍法帖」 さらばタコ入道… »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/14309876

この記事へのトラックバック一覧です: 「天保異聞 妖奇士」 説二十三「印旛沼古堀筋御普請」:

» 天保異聞 妖奇士 第23話 [オヤジもハマる☆現代アニメ]
サブタイトル「印旛沼古堀筋御普請(いんばぬまふるほりすじごふしん)」   印旛沼の工事現場に端を発する妖夷の噂。   少年の意図に反し、現れる数々の妖夷。   そしてその陰には、またしても”西の者”の姿が...?... [続きを読む]

受信: 2007.03.19 05:51

« 荒山徹 作品年表 | トップページ | 今週の「Y十M 柳生忍法帖」 さらばタコ入道… »