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2007.03.01

「寝小魔夜伽草子」 黒と白の狭間で蠢く妖の世界

 「コミック乱」誌に連載された的場健氏による漫画「寝小魔夜伽草子」。何やら艶っぽいタイトルですが、大丈夫(?)、諸国流浪のお姐さんが、龍脈の乱れに乗じる妖しと対決する時代ファンタジー漫画です。

 主人公のお玉さんは、龍脈を監視し、各地の妖を鎮める組織に属する女性。江戸時代の感覚で言えば中年増といったところでしょうか、きっぷが良くてサッパリした気性の美人という、江戸っ子好みなお姐さんです。
 その彼女が風任せの旅先で出会うのは、いずれも不可思議で怪奇な事件。実はその背後には、日本の地脈の流れ、龍脈を乱し、我が者にせんとする何者かの陰謀が…というのが本作の基本設定です。

 その本作で描かれるのは、いずれも超自然的事件ではありますが、そのきっかけとなるのは、決して神や妖の側の事情ばかりではなく、むしろ大部分が人間の欲望によるもの。人間の不遜な、あるいは醜い欲望に怒る神や妖を鎮め、人と妖の世界双方を平穏に保つため、お玉さんが活躍することとなります。
 そんな物語であるために、描かれる内容は時として陰惨なものともなりますが、そこをお玉さんの明るい個性が救っており、読後感は決して悪くありません。

 そして…そんなお玉さんのキャラクターと物語を飾るのが、本作の最大の魅力とも言うべき、その黒と白のコントラストも鮮やかな絵。光と闇をくっきりと描き分けたその美しい絵は、そのまま人の世界と妖の世界という二つの世界につながって、その狭間で起こる事件を妖しく、美しく浮かび上がらせています。
 本書を開いてその絵に目を奪われ、そのままご購入、という読者の方も多かったのではないかと想像します。

 そんな本作ですが、雑誌連載はすでに終了。本作の大きなストーリーも、一応ひと段落ついてはいます。しかしながら、絵もキャラクターも魅力的な本作、まだまだ終わらせるのは惜しいし、幾らでも続編を描くことはできるでしょう。いつかまた、お玉さんの旅姿を拝みたいものです。


「寝小魔夜伽草子」(的場健 リイド社SPコミックス) Amazon bk1

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