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2007.03.27

「天保異聞 妖奇士」 説二十四「後南朝幻想」

 アトルの力で現れた巨大妖夷・祗影。アトルを止めようとする往壓だが、西の者はアトルと祗影を捕らえ、祗影と一体化してしまう。妖夷こそはかつて神々が現世に遺していった神の鎧であり、神の血を引く後南朝の末裔である自分のみが操ることができると語る西の者。駁竜に変じた往壓は祗影を倒すが、人間に戻ることができず、半ば妖夷化してしまう。と、そこに西の者側についた元閥が現れ、叢雲剣で往壓を貫くのだった…

 まさに風雲急を告げるラスト一話前と言うべき内容でありました今回の「天保異聞 妖奇士」。
 主な内容を上げれば
・アトル中二病発症
・アトルを往壓に託す狂斎
・踊るおっさん巫女と妖夷=神の鎧説
・西の者の正体と鳥居の真意
・大魔獣激闘
・遂に往壓妖夷化&えどげんの裏切り
と、確かに詰め込みと言えば詰め込み、急展開ではあるのですが、前回が小難しい――と言って悪ければ細やかな人間描写が必要な――話を詰め込もうとして消化不良になっていた一方で、今回は物語の重要な背景設定を盛り込みつつも基本はアクションで、詰め込みがかえって状況の緊迫感を強めていたように思えます(というのは贔屓目に過ぎるかもしれませんが…また、唯一ソテ姐さんの狂乱が唐突に見えてしまったのが残念。気持ちは何となくわかりますが)

 上記のようにポイントは山ほどありますが、まず挙げるべきは妖夷の正体でしょう。かつて八百万の神が、現世においてまとったという鎧。神々が異界へ去る際に現世に遺したその鎧と、人の想いが合わさって生まれたものが、妖夷と呼ばれる存在だった、と。なるほど、以前アビ姉が登場した際に、妖夷は異界に留まれないと語られていましたが、それとも確かに平仄は合います。
 そしてまたそこから繋がってくるのが、神は、神の血を引く者は、妖夷と一体化して(モビルトレースシステムの如く)操ることができる、という事実。これもまた、数話前の吸血妖夷の回で、西の者が異国の吸血妖夷を身にまとおうとしていたこと、そして誤って妖夷と一体化してしまった男が暴走したこととも整合性が取れています。
 もっとも、妖夷が神の鎧だったら豊川の姐さんたちみたいな存在は一体…という気もしますが、あれはまあ、妖夷とはまたちょっと違う神様に近いものか、あるいは何かの拍子に自我を持ったり人を取り込んだりした妖夷なのだと思っておきます。
(なお、この神の鎧という テーマ、同じ會川作品である「南海奇皇(ネオランガ)」と通じるもののがあるとのことなのですが、そちらは未見なのが残念)

 それはさておき、伝奇者的にたまらないのは、その妖夷の特性を使って幕府転覆を企む西の者の正体が、実は後南朝の末裔だった、というところ。後南朝については番組中でも語られていましたが、南北朝合一に不満を持つ南朝方の人間が吉野に籠もって正統の王朝を唱えたもの。結局は時勢にあらがえず自然消滅してしまったようですが、その存在の面白さから、室町時代を描いた時代ものにはしばしば登場する存在です(が、不勉強にして江戸時代に後南朝を登場させた作品は、すぐには思いつきません)。
 この後南朝が歴史上に姿を現した事件の一つが、1443年(嘉吉3年)の禁闕の変で、この時は後南朝側が内裏に乗り込んで神璽と宝剣を奪っていますが、それが今回竜殺しの剣として往壓を貫き、若本規夫にしては珍しくうろたえた声を上げさせた叢雲剣の登場に繋がってくるのですが…どんだけマニアックなのだ、一体。
(マニアックと言えばもひとつ、祗影=「桃山人夜話」の赤エイ=リヴァイアサンなんてとんでもなさすぎる話をサラッと出してくれるのが最高でありました)

 さて、往壓は(尻丸出しで)倒れ、えどげんは西の者側に立ち、アトルはその手に落ちたという最悪の状況となって次回に続く、となったわけですが――どうやら次回は奇士の本拠である前島聖天が西の者の襲撃を受ける様子。この絶体絶命のピンチに小笠原様のマッハパンチ炸裂!?
 …と、実にカオスな状態の次回最終回を、悲しくはありますが、まずは楽しみに見届けたいと思います。 

 と、次回は「最終回」じゃなく「幕間」? しかもビデオでオリジナルストーリー? 
 まあ、「幕間」ってのは少年漫画で言う「第一部完」と同じようなモンだと思いますし、オリジナルストーリーもごく限られた話数だとは思いますが――と、さすがに今更楽観的にはなれないのですが、少しだけも希望が見えるというのは良いものですね。


 …しかしあのおっさん巫女はもの凄く安永航一郎臭かったなあ


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