« 五月の伝奇時代劇アイテム発売スケジュール | トップページ | 「不知火殺法」その一 ヒーローのいない世界で »

2007.04.24

「BEAST of EAST」第三巻 画の魔力に魅了されて

 絢爛豪華平安伝奇活劇「BEAST of EAST」の新刊が発売されたことは、伝奇ファン、山田章博ファンにとっては大いなる喜び(と同時に驚き)であります。本作は、未だ現在進行中の物語でありながら、既に伝説と化していると言っても過言ではないかと思います…その刊行ペースも含めて(私の手元の単行本の発行元を見たら、一巻がスコラ、二巻がソニー・マガジンズ、この三巻が幻冬舎だったり…)。

 それはさておき、内容の方は快調そのもの。雨乞い勝負で安倍晴明を下しながらも、鬼王丸につれなくされて怒りに燃える玉藻の暗躍は続き、宮中には夜獣・鵺が跳梁。さらに帝を唆し、伝説の人魚の肉を求めようとします。
 第三巻の前半は、この玉藻の暗躍と、相馬小次郎・後の平将門の関東での受難を描き、後半では人魚の肉を奪取すべく鬼王丸一党が大暴れを演じる一幕となっています。
 正直なところ、アクションシーンが多いこともあって話の進み具合は今一つですが、しかしそれだけにケレン味溢れるアクション描写は魅力たっぷり。特に後半の乱闘劇は、藤原純友が捕らえてきた人魚を奪取すべく、鈴鹿御前と組んだ鬼王丸一党、さらに助っ人として安倍晴明(それにしてもこの晴明、ノリノリである )が宮中を騒がすという平安オールスターキャストで、それだけでもう嬉しくなってきます(時代考証からすると色々とおかしいことはあるのですが、それを言うのは野暮の極み。むしろこれは歌舞伎に厳密な時代考証を求めるのと同じことでありましょう)。

 それにしてもつくづく感心するのは、登場人物が美男美女ばかり…というのはちょっと誤解を招くので、魅力的であるという点であります。一部を除き、個々のキャラクターを描くのにそれほど紙幅が費やされているわけではないのですが、しかしその人物が物語に登場した途端に、あたかも以前からその世界で暮らしていたかのように、自身のパーソナリティーを備えたものとして見えてくるのは、これはもう画の力と言うしかないでしょう。

 さて物語の方は、「玉藻の前」から大きく離れて関東平野に、平将門の物語につながっていく模様。なるほど、鬼王丸への、この世界への怒りを露わにした玉藻が世界を滅ぼさんと仕掛ける戦とはこのことであったか、と感心いたします。
 もっとも、さてその続きを目にすることが出きるのはいつの日か…といささか不安にもなりはしますが、いつの日であろうと楽しみに待ち受けてやろう、と思ってしまうのは、これはやはりこちらが玉藻ならぬ山田先生の画の魔力に魅了されてしまったということでしょうか。


「BEAST of EAST」第三巻(山田章博 幻冬舎コミックス) Amazon bk1

関連記事
 「BEAST OF EAST」 眩暈するほどの絢爛豪華な伝奇絵巻

|

« 五月の伝奇時代劇アイテム発売スケジュール | トップページ | 「不知火殺法」その一 ヒーローのいない世界で »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/14827672

この記事へのトラックバック一覧です: 「BEAST of EAST」第三巻 画の魔力に魅了されて:

« 五月の伝奇時代劇アイテム発売スケジュール | トップページ | 「不知火殺法」その一 ヒーローのいない世界で »