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2007.04.08

「柳生十兵衛七番勝負 最後の戦い」 第一回「母恋の剣」

 私的にはTV時代劇最後の砦の一つ、NHKの木曜時代劇の新シリーズは、「柳生十兵衛七番勝負 最後の戦い」であります。村上弘明演じる柳生十兵衛を主役に据えたこの作品もついに第三シリーズにしてラストシリーズ。晩年(って言っていいのかしら)の十兵衛が、柳生家の宿命や己の過去と対峙しつつ、様々な強敵と対決するという作品になりそうです。

 前作、島原の乱の戦いから時は流れ、柳生の里で妻(牧瀬里穂変わったなー)と暮らす十兵衛。心身ともほとんど虐待同然に父に育てられた十兵衛が子供を儲けようとしないのと、たまに功名目当ての照英とかが突撃してくるのを除けばまず平和な生活を送る十兵衛ですが…そこに届くのは一通の手紙。幼い頃に家を出た母、宗矩からは既に死んだと聞かされたその母の消息を教えるという手紙に誘い出された十兵衛を待っていたのは、彼の命を狙う罠でありました。銃声一発! 柳生十兵衛倒る!! というわけで、凶弾に倒れた十兵衛の運命やいかに、というのが第一回のあらすじ。

 津本陽先生が血相変えて飛んできそうなくらい素晴らしい伝奇っぷりに早くも充ち満ちている本作(冷静に考えるとNHKがこういうことやってくれるのですから嬉しい)。大筋としては、幕府転覆を狙う由比正雪と、その後ろ盾となった徳川頼宣の陰謀に十兵衛が立ち向かう、という構図になるようですが、第一回のハイライトが十兵衛による回想シーン、というか柳生宗矩の黒すぎるキャラクター描写にあることは、視聴者の大半が認めてくれるのではないかと思います。

 夏八木勲演じる柳生宗矩は、シリーズ第一作からのレギュラーではありますが、今回描かれたのは、十兵衛の幼少期から青年期に至るまでの姿。柳生家を大名にするためであれば、如何なる手段も辞さない(てなことを本当に宣言する)彼は、幼い頃から十兵衛を自分の手駒として使い、妻の制止も聞き入れずにひたすらスパルタスパルタ…なんだこの黒いオヤジ。
 正直に言ってしまうと、宗矩のインパクトが強すぎて、話の本筋が記憶から消えかけるほどの素晴らしさでした。遺影みたいなカットの顔がまたもの凄い悪役ヅラで…実は死んでなくて十兵衛最後の敵として立ち塞がるのはこの人、でも違和感ないような気がしてきました。いやむしろその展開希望。
 それにしても夏八木さん、最近は渋い役や枯れた役が多くて残念に思っていましたが、往年のギラギラっぷりがこの宗矩からは感じられて嬉しい限りです。

 それ以外のキャストも、さすがはNHKだけあってなかなか豪華です。特に面白く感じたのは、徳川頼宣を演じるのが西村雅彦である点。紀州頼宣と言えば人呼んで「南海の竜」、剛毅な人物という印象が強いですが、本作の頼宣はそれとかなり印象を異にする、かなり陰性の人物として描かれており、ぶっちゃけキモくて愉快です。何せ若い頃から、将軍宣下の直前の家光を唆して辻斬りをさせ、不適格者として自分が将軍に取って代わろうとしていたような人物として描かれているのですから…またこの時の辻斬り描写が妙にダイナミックでなあ。それはともかく、その時に家光の罪を被って自ら退いたのが、十兵衛の放逐の真相という展開も、実にうまいと思います。
 その他、大次郎は相変わらず頼りないし(褒め言葉)、和泉元彌の由比正雪ぶりも実に板に付いているしと、やっていることはバリバリの伝奇ものなんだけれども、キャスト・スタッフの安定感が抜群で、安心して楽しむことができる作品になりそうです。


 ちなみに、公式サイトにはかなりネタバレが紛れているので要注意。あいつにはそんな秘密がorz

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