« 作品集成更新 | トップページ | 「柳生十兵衛七番勝負 最後の戦い」 第一回「母恋の剣」 »

2007.04.07

「幕末機関説 いろはにほへと」 第二十六話「海の向こうへ」

 いつものOPなしでグッといつもと違う感も高まる「幕末機関説 いろはにほへと」最終回。冒頭から全力疾走体勢ですが、恩田作監だけあってクオリティが高い! 高すぎて今まで見ていたのは何だったのか、と複雑な気持ちになりますが、最終回にふさわしい素晴らしいクオリティでありました。

 浮上を開始した五稜郭に大ジャンプ(飛びすぎ)、突入した耀次郎を待ち受けるのは、首に操られた兵士たち…多い、ちょっと多すぎるよ! と言いたくなるくらいの兵士の群に真っ向から突入。まさに幕末無双状態でバッサバッサと斬り倒し、あっさり一面クリアして次のステージへ。

 が、次のステージで待つのは偽ジャンヌと化した赫乃丈…いかに月涙刀を持ち覇者の首に操られているとはいえ、所詮は素人、しかも月涙刀は小太刀。一刀の下に斬り倒しますよ! と師匠に宣言した耀次郎の敵とは思えず、戦いの焦点は本当に耀次郎が殺っちゃうか、ですが――
 予想通り座長を圧倒する耀次郎ですが、耀次郎、刀で座長のジャンヌ衣装を脱がしてる!? なにこのエロ剣術(実際この時の座長の体の曲線が妙に艶めかしい)と最初は思いましたが、これは演じる役の虚構を剥ぎ落とし、赫乃丈を元の姿に戻すということなのでしょう。
 そしてついに剥ぐものもなくなった時、その後の一撃はどうするのか、と今度こそハラハラしていたら…月涙刀の柄頭で鳩尾一撃! 剣術的にも理に叶った攻撃で、座長を無力化。実に見事な勝利です(しかし左京之介にもこれやってやれよう(´Д⊂)。
 それでもなお座長の体を操って耀次郎をズブリ、とやろうとする小太刀ですが、避けようともせず刀を掴んだ耀次郎(のよくわからないパワー)と、小太刀を止めんとする座長の、二人の心が勝利したか、小太刀も鎮まり遂に月涙刀大小が耀次郎の腰に! これは素直に格好良い。

 一方、榎本を捨てた覇者の首をその身に憑かせたのは蒼鉄先生。それならば最初からやればいいのに、と思わないでもないですが、本人は大願成就まで裏に徹する(というよりこんなキモいものは他人に憑かせとけという)気だったか、はたまたパーフェクトモードの耀次郎を待っていたか…いずれにせよこちらも体勢は万全(?)です。

 そして対峙する色男二人…耀次郎はもちろん月涙刀、蒼鉄先生は長巻チックに変形させた太刀を手に演じる剣戟は、まさに本作の集大成と言うべき華麗凄絶なもの。耀次郎も、そしてこれまでかすり傷一つ負わなかった(たぶん)先生も、互いに手傷を負いながらの死闘は、時間こそさほど長くはありませんが、実に見応えがありました。
 そんな中でも謎のスイッチを押してステージを変化させる先生は素敵すぎます。

 そんな戦いも遂に終わり、苦しい息の下で己の真意を語る先生。覇者の首を用いて造った国にどれほどの意味があるのか。かつて坂本竜馬に首を拒絶された先生は、竜馬の意志を継いだ耀次郎をもって、己が行動の正しさを測ろうとしていたと――迷惑だな、先生。いや先生のすることなので許します。

 そして時は流れ…赫乃丈は仲間とともに一座を続け(そういえば彼らは何のために蝦夷地くんだりまで来たのか…)、不知火小僧は相変わらず琴波太夫を追っかけて――って、耀次郎並みの不死身キャラだな太夫――それぞれに平和な暮らしに戻った中、耀次郎は海外逃亡、じゃなかった竜馬が見てきたものを自分も見るために一人海の向こうへ…
 うむ、実にきれいな幕切れですが、この時の耀次郎の背広姿が尋常ではない似合わなさで最後の最後に爆笑してしまってごめんなさい。


 さて、全話完結して振り返ってみれば、幕末から明治初頭の時代と人物を克明に描いてきた本作、箱館戦争の件などは、伝奇抜きの時代劇としてもなかなかよくできていたかと思います。
 また、本作のウリの一つであった牧秀彦先生による殺陣についても、回によって差が大きかった演出と作画のクオリティに左右されたところが大きかったものの、十分に楽しませていただきました。

 が、残念なところも色々あったのは事実。上記のクオリティのバラけかたもそうですが、やはり耀次郎のキャラが薄かったなあ、というのが、悪い意味で印象に残りました。発展途上の人物というには迷いが少なく、完成された人物というには魅力がいささか乏しい、そんなキャラクターであったため、特に中盤は歴史の巨大なうねりの中に埋没しがちで、ひいては本作のドラマとしての盛り上がりを欠けさせる結果にもつながったかと――彼一人の責任にするのは厳しすぎますが――感じました。終盤も、なんだか突然にパワーアップした感がありますしね(それだけ迷いがなくなった、ということなのでしょうが絵的にわかりづらかった)。

 と、厳しいことばかり書いてしまいましたが、この半年間、毎週楽しみに見ることができたのは事実。様々な悲劇はありましたが、結末は、青空をバックに「愛の剣」が流れた最終回EDのように、爽やかで後味のよいものであったかと思います。まずは、スタッフとキャストの皆様に感謝感謝です。


「幕末機関説 いろはにほへと」第三巻(バンダイビジュアル DVDソフト) Amazon

関連記事
 今週のいろはにほへと

 公式
 公式ブログ

|

« 作品集成更新 | トップページ | 「柳生十兵衛七番勝負 最後の戦い」 第一回「母恋の剣」 »

コメント

こんにちは。
いつもTBでお世話になっております。
「橘の部屋」の橘です。
『いろは』記事へのTBありがとうございました。
それでこちらもTBさせて頂こうと何度か飛ばして
いるのですが、弾かれてしまいます。
申し訳ありませんが、コメントにて失礼させて頂きます。

>なにこのエロ剣術

ほんとですね。でもそっち系統に疎そうな耀次郎が
やるから、余計面白かった。

>耀次郎並みの不死身キャラだな太夫

絶対助からないと思ったんですけどねぇ…。
丈夫でしたね。

>耀次郎の背広姿が尋常ではない似合わなさで

似合わないし、幼く見えちゃいましたね。
耀次郎はトレードマークなあの姿の方が
全然良いと思う~。

耀次郎のキャラが薄かったというのは私も感じて
いますが、それでもかなり気に入ってしまったキャラ
でした。
終わってしまって、寂しいです。

投稿: たちばな | 2007.04.10 21:17

橘さんこんにちは。ようこそお越し下さいました。
今まで黙ってTBしていてすみません。
TB不調のようで残念です。

さて、橘さんにいただいたコメントを見ていて今さらながら気付いたのですが、耀次郎はあの黙々としたキャラが逆に楽しかったですね。いじりたくなるというか突っ込みたくなるというか…
同じ黙々キャラの左京之介と仲良くして欲しかったです。

不満もありましたが、最後はすっきりと爽やかな作品でした。小説版も楽しみにしているところです。

投稿: 三田主水 | 2007.04.11 00:55

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/14591144

この記事へのトラックバック一覧です: 「幕末機関説 いろはにほへと」 第二十六話「海の向こうへ」:

» 幕末機関説 いろはにほへと #26 [最終回] 「海の向こうへ」 [マンガに恋する女の ゆるゆるライフ]
いよいよ二人の対決。そのまえに・・・ 耀次郎クルクル回転!?∵ゞ(´ε`●) ブハッ!! …ごめんなさい〜耀次郎、笑ってしまいました。。。  ↓  ↓ [続きを読む]

受信: 2007.04.10 07:12

» 幕末機関説いろはにほへと 最終話「海の向こうへ」 [RAINEY TOON -The mature suite-]
真剣に見ていたこの作品も最終話を迎えてしまいました。 ネット配信(たまに調子悪かったけど)というのも私には初めてでした。 OPもEDも購入しちゃうくらい大好きでしたョ。 いよいよ最後に蒼鉄さんの謎が語られるのだろうか? という期待で、既にハチ切れ飛んだ私の胸(笑) ... [続きを読む]

受信: 2007.04.10 09:37

» 幕末機関説 いろはにほへと 26「海の向こうへ」 [はざまの欠片]
「彼の者再びあいまみえし時あらば、一刀の下に斬り捨てる所存にて候…!!」 もう冒頭から気合が違います。雑魚はアっという間に片付け、永遠の刺客、いよいよ決戦の時!! 耀次郎は「一刀の下に斬り捨てる」つもりでいましたが、やはり…斬れなんだか(笑)。でも、赫乃....... [続きを読む]

受信: 2007.04.10 20:58

» 幕末機関説いろはにほへと最終話「海の向こうへ」 [こしょぞうさんの叫び]
太夫生きてた!? …と言う事は、神無も??  などという期待はあっさり打ち砕かれ [続きを読む]

受信: 2007.04.10 22:07

» 幕末機関説 いろはにほへと 第26話「海の向こうへ」 [WONDER TIME]
「我が宿命に賭けて・・ 斬るッ!! 覚悟! 覇者の首ッ!!!」 遂に最終決戦!!! 「全ては胡蝶の夢・・・・ 茨木蒼鉄が大芝居 これにて幕なり――」 うぁぁあッ! 蒼鉄さん(涙) 「いろは〜」も最終回―― いつもよりかな... [続きを読む]

受信: 2007.04.10 22:41

» 幕末機関説いろはにほへと 第26話 [月の気球]
幕末機関説いろはにほへと 第26話「海の向こうへ」 ついに最終話ー!!やっと見れました最終話。 私の理解力の問題か結局何だったんだろう・・・?と思った部分もあって全て納得できたわけではなかったですけど、それが帳消しになるくらい凄く良い最終回だったと思いますv作画も恩田さんで美しすぎましたし! 耀次郎ー!赫ちゃんー!蒼鉄先生ー!(涙)と色々あったのに最後の洋装耀次郎に全て掻っ攫われました(笑)あれはヤバイ!あれはいけないと思います!可愛すぎる・・・!最終回見終わった後覚えてたのが耀次郎の洋装... [続きを読む]

受信: 2007.04.11 20:49

» 幕末機関説 最終話 [響口]
て たゆう生きてる〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 超安心♪ そしてゆやちんとあっきーがついに てホントこのニックネームばからしい 誰だよつけたの! 最終回はあの途中んとこで あっきーとゆやちんが出てこないんですね・・・ 残念 泣 でもちょっとうれしいかも 出てきたらまたなくし; ぁあ なんかうれしいなぁ すっごく幸せ おめでとう よっちぃ!(新ニックネーム) ... [続きを読む]

受信: 2007.04.12 21:56

« 作品集成更新 | トップページ | 「柳生十兵衛七番勝負 最後の戦い」 第一回「母恋の剣」 »