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2007.05.21

「かまいたち」青い鳥文庫に現る

 書店で青い鳥文庫からこの「かまいたち」が刊行されていたのを見たときは、ちょっと…いやかなり驚きました。以前から宮部みゆき先生の作品が、青い鳥文庫から刊行されているのは知っていましたが、まさかあの「かまいたち」が…という気分だったのですが、手にして納得。こうしてみると、テーィンズが読むには全くもってお誂え向きの作品集であります。

 享保の世を舞台に、江戸を騒がせる辻斬り「かまいたち」の凶行を目撃した少女・おようの冒険を描いた本作は、ほとんどの場面が彼女の視点。自分だけが犯人の正体を知っているという孤独感・焦燥感と、それにもくじけず「かまいたち」と対決しようというおようの心の動きは、宮部先生一流の筆でもって見事に描き出されており、誰が読んでも面白いものではもちろんあります。
 が――おようは十八歳の乙女。三十半ばのおっさンよりも、十代の女の子の方がより親近感を抱き、感情移入できることは自明の理であります(ちなみに標題作以外の三編のうち、「師走の客」を覗く「迷い鳩」「騒ぐ刀」は、言うまでもなく、あの霊験お初シリーズのパイロット版とも言うべき作品。つまりは、これらも十代の少女を主人公とした作品であります)。

 そんな簡単な事実を、こういう形の本になるまで気がつかなかったというのは、これは己の目の節穴っぷりを恥じるしかないのですが(また冷静になって読んでみると、「かまいたち」はキャラクター配置やストーリー展開が見事に女の子向けしてたりするわけで…)、何はともあれ、この名作をより多くの読者が手にしてくれれば、これは素晴らしいこと。
 内容的には、新潮文庫版から、ふりがなを多くし、また漢字の一部をひらがなに改め、いくつかの用語に解説を付しただけのものであって、私みたいなマニア以外は、大人が改めて手に取る必要はないかと思いますが、お子さんや教え子の洗脳…じゃなくて英才教育には最適の一冊ではないでしょうか(いま読み返してみると「騒ぐ刀」など伝奇ホラーとしても実に面白いのです)。


「かまいたち」(宮部みゆき 講談社青い鳥文庫) Amazon bk1

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