« 「武芸十八般」 武術様々、らしさ様々 | トップページ | 「かまいたち」青い鳥文庫に現る »

2007.05.20

「大江戸ロケット」 七発目「トンデモない飛んだ女」

 もう一話先の展開が全く読めない「大江戸ロケット」、第七話の今回は、
○長屋の面々がロケット開発に一致団結
○ソラの正体バレ(その一)
○赤井様闇堕ち
というストーリー上大きなイベントを、ナンセンスにもほどがあるギャグを織り交ぜつつ、一話の中でスムーズに繋げて描いてしまうという離れ業を見せてくれました。

 今日も今日とて青い獣による殺人事件の捜査に奔走する黒衣衆は、殺人事件の発生地点を元に潜伏地点を割り出そうとしますが…そこで今までと離れた地点で起きた新たな殺人事件。が、その被害者が長屋のカラクリ名人・新佐の知人だったのが(いろんな意味で)面倒のもとでありました。
 被害者が新佐の傘を持っていたというのを、殺されたのは新佐と思いこんだ長屋の住人たち(除く銀次郎。このシーンでの山ちゃんの「みんな話聞こうよぉ…」が絶品)。本人がそこにいるのにもかかわらず新佐が殺されたと思いこんで、当の新佐までも自分が死んだと思いこんで…ってこれは「粗忽長屋」か! ベタだけど楽しいなあ。
 特に、「とりあえずおろく(死体)もらわねえと」「自分のこったろ、自分でおやりよ!」とか、「新佐が西方寺でくたばってるんならここにいる新佐は誰だーっ」「わかった、幽霊よ!」「バカの二乗ー!」の辺りは、ポンポンとテンポ良く台詞が飛び出してきて、ギャグ芝居の基本を見ているようで大笑いさせてもらいました。

 さて、疑い(?)は晴れたものの、自分のカラクリがばれたのではないかと気が気でないのは新佐ですが――隠しておいたカラクリを完成させなくちゃと慌てて、かえって開発途中のカラクリを起動させてみれば…それはゴエモンインパクト巨大藤娘ロボ!? 突如としてアキバ辺りに出現した巨大藤娘に周辺は大騒ぎ。これは「ロボットカーニバル」…いやスタッフ的にやっぱり「ヒヲウ戦記」か! そうか新佐が機の民だとすれば巨大ロボット作っても何の不思議もないな。納得した<すんな
 それにしても天保当時のアキバには「サンオー」「虎穴」なる建物があったり、木製ガシャポンコスプレ茶店、おまけにみなもと太郎先生やサムシング吉松まで歩いていたりして、いやあ日本のマニア文化は長い長い歴史があったんだ、すごいなあ(棒)。

 そんなお遊びはともかく、新佐を乗せたまま暴走を開始した巨大藤娘に江戸中大混乱。清吉たちが止めようとするものの、その巨体は長屋に向かって歩を進め…って、物干場に取り残されて助けを求める源蔵とその母に対して「源蔵のお母さん!?」「隣の野郎はどこの誰だい!?」って鬼のような源蔵イジメに噴いた。
 その長屋絶対の危機に、ソラは単身巨大藤娘にジャンプ…というより飛行してみせるや、制御ボルト(?)を抜いて巨大藤娘を分解した上に新佐をキャッチして静かに着地。そのまま、寂しげな表情を見せてその場を去ってしまって…

 にしても心配になるのがこの後始末。いくら何でもここまでやったら新佐は市中引き回しの上獄門間違いなしだろ、と思ったら、秋葉原の藤娘喫茶の看板が倒れた…ってそんなのアリか!? 見えないところで遠山様は大活躍してるんですな。そんなことより何故藤の精が喫茶店に? と思いきや、藤娘が藤の精になったのは、歴史的に見ればかなり最近のことなのですね…(こちら参照)。負けた!<誰に
 しかし今回の真のMVPであるソラは一人何処かへ…と、そこに追いかけてきた清吉(あ、ソラって呼び捨てにした!)は、江戸っ子気質を爆発させてソラを長屋に連れ帰り、破壊された長屋もご隠居のボタン一つで復活。長屋の一同も清吉に協力することになって、ソラを乗せるのも「月女飛」と書いて「ロケット」と命名…って全然読めないよその当て字!

 それはさておき、めでたしめでたしでいつも通りサブタイトルがラストに出てお仕舞い…と思いきや、再び発生する殺人事件。獣の爪に似た凶器(古典的だねどーも)を使ったその下手人は…赤井様!? というところで本当にお仕舞い。


 さてさて、冒頭に書いたとおり三つの大きなイベントを盛り込みつつ、きっちりドラマとしても盛り上げてくれた今回。正直なところ、巨大藤娘が闊歩する世界でちょっとくらい超能力を発揮したくらいでそんなにみんな怖がるかね、という印象はあり(しかしソラの超能力を見ただけでは化け物扱いしなくても、白い獣の姿を見せればどうなるか…意地悪な見方ではありますが、今後の展開として少々気になります)、それはナンセンス・コメディとそれなりにシリアスな時代ものの二つの顔を持つ本作の構造的な弱点の現れかとは思いますが、それは気にするだけヤボってもの…なのかなあ。
 とはいえ、ドタバタやっている中でも、例えば「みんなを巻き込みたくなかったから」というソラの台詞に、清吉が、ロケット作りに回りの手を借りようとしなかった自分自身の姿を重ね合わせてハッとするシーンなど、きっちりとキャラの心理描写も見せてくれるのが本作の魅力。この丁寧な作りがある限り、心配することはないのでしょう。

 そして赤井様! ついにヤってしまいました。もちろん、あれが本物の赤井様と決まったわけではなく、青い獣が化けている/取り憑いているなどという展開もアリですが…さすが人を殺しそうな目つきの人が舞台で演じていただけはあるぜ。
 しかしイヤミではあったものの、あの世界では一番良識派だった愛すべきキャラクターがこんなことになってしまって一体どうなるのか。やっぱり黒い黒い展開が待ち受けているのでありましょうか。赤井様の行方は大いに心配です。


関連記事
 今週の大江戸ロケット


関連サイト
 公式サイト
 公式ブログ

|

« 「武芸十八般」 武術様々、らしさ様々 | トップページ | 「かまいたち」青い鳥文庫に現る »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/15143764

この記事へのトラックバック一覧です: 「大江戸ロケット」 七発目「トンデモない飛んだ女」:

« 「武芸十八般」 武術様々、らしさ様々 | トップページ | 「かまいたち」青い鳥文庫に現る »