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2007.05.30

「姫武将政宗伝 ぼんたん!!」第一巻 ギャグとシリアスを兼ね備えた快作

 あの伊達政宗は実は女だった! という意外にもほどがある本作、mixiにて某氏より情報をいただくまでは、恥ずかしながら私は全くチェックしていなかったのですが、早速手に取ってみれば実にギャグのテンポが良くて楽しく、それでいて時折ハッとさせられるシリアスさもある、なかなかの良作でありました。

 伊達輝宗と義姫の間に生まれた萩姫は、利発で可愛らしくも周囲をハラハラさせ通しの腕白な女の子。が、この萩姫が五歳の時に、疱瘡で右目を失明してしまったことから、娘を溺愛する輝宗は、その隻眼が将来萩姫を苦しめ、屈折した娘になることを恐れて、彼女を男子として育てることを決意します(この辺り、異常なロジックですが本当にこんな展開なので仕方ない)。
 かくて、梵天丸と名を改めた彼女は、守役のカタブツ・片倉小十郎をはじめ周囲を振り回しながらも元気に育つのですが…

 というのが本作のあらすじですが、ギャグとしてまず非情に面白いのですが、時代ものとしてもなかなか面白いのです、これがまた。何よりも、物語の中でツッコミが入りまくるように、それ無理! と言いたくなるようなある意味豪快なアイディアを持ってきながら、安易にパラレルワールドや、女体化パロに走ることなく、少なくとも現時点では真っ正面から史実にチャレンジしているところが素晴らしい。
 もちろん、ギャグの勢いに任せて突破している部分も多いものの、それでも梵天丸が実は女であることは、物語において秘されるべき「事実」であり、決して笑ってごまかせるものではありません。そしてそれが周囲の者たちに――そして何よりも梵天丸自身にとって、様々な波紋を生んでいく様は、普段が脳天気でパワフルなギャグの連発であるだけに、より印象的に感じられます。

 そして――伊達政宗といえば、その母や弟との悲劇的な軋轢のエピソードがまず浮かびますが、この第一巻でちらりと描かれるその発端は、なるほど、梵天丸が女子であるがゆえ、男子として育てざるを得なかったがゆえのものであったかと感心するとともに、今後の物語の展開が大いに気になるところです。

 とはいえ、本作の基本はあくまでもギャグ。天真爛漫なようでいてひねくれまくった梵天丸が周囲を振り回す様、そしてその父の(親)バカっぷり(さらに言えば、義姫の実家であり伊達の宿敵である最上親子のバカっぷり)は、微笑ましいやらおかしいやらで、実に楽しく読むことが出来ました。
 ギャグとシリアス両面で、これからの展開が楽しみですね。

 ちなみに本作が連載されているのは、Webコミック誌「源蔵」…じゃなかった「幻蔵」「オヅヌ」「武死道」「ガゴゼ」と、このブログでも取り上げてきた時代コミックが連載されている本誌、この「ぼんたん」といい、実はへたな専門誌よりも充実しているのではないかと思えてきました。


 あ、この漫画のタイトルが何故「ぼんたん」なのか、今頃になって気付いた…<遅いよ!


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コメント

三田主水さま。
こんばんは。
記事を読んで、さっそく購入させていただきました。阿部川先生といえば『コミックGUM』誌上で4コマを連載されてる方で、『おとぎ奉り』ともどもそちらも面白く読んでましたので(笑)。
三田さまのご感想の通り、ギャグとシリアスのかねあいがみごとで、史実ともちゃんと向き合っていて、なかなか読ませてくれる作品でしたね。ギャグも相変わらずで、特に「うりゃ」と××するあたりは「いーっ!?」と。(小十郎さんもおかわいそうに…)
でも面白かったです。いい意味でハジケてて。4コマしか知らなかったですけど、ストーリー漫画も描ける方なんだ、と感心してしまいました。
『オヅヌ』『武死道』『ガゴゼ』ときて、この『ぼんたん!!』。『幻蔵』は、今後も楽しみな時代もの作品ばかりですね♪

しかし本やさんで所在を確認して手に取って帯を見ると「もうええ…」とツッコんでしまったのですが。(←こんなところでも笑いを取ろうとする根性を笑ってやってください…)

投稿: ケイト | 2007.06.02 18:36

ケイトさんこんばんは。阿部川先生の作品は今回がほとんど初めてだったのですが、面白いですね。
あれだけ裸を連発されると小十郎さんのような表情になってしまいますが…
これから色々と重い展開もありそうですが、どう料理してくれるか楽しみです。

しかしオビといえば、一度読み終わってオビを見るまでタイトルの意味気付きませんでしたよ…

投稿: 三田主水 | 2007.06.03 21:35

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