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2007.06.03

「コウヤの伝説 4 ふぶきの山」 そして少年たちの旅は終わる

 時海結以ゆづか正成の児童向け時代ファンタジー「コウヤの伝説」の最終巻です。この巻では、これまで異世界コウヤの神の力の顕現である四神・朱雀と白虎を救い出した主人公四人が、サブタイトルにある「ふぶきの山」にて玄武と出会い、そして宿敵バサラと最後の四神・青竜との決戦に臨むこととなります。

 激しいふぶきが続く玄武の山にて遭難しかかった吾郎・きじゅ丸・みさ可・いぶきの四人は、山腹の洞窟で、四神の持ち物である法具のうち三つを手にします。四神の力が籠もった強力な法具の力でパワーアップした一行は、玄武を解放し、残る青竜を求めて旅立ちますが、青竜はバサラに操られるどころか逆にバサラを操り、自らの意志で人間を憎み、滅ぼそうとしていたのでありました。かくて四人はバサラ、そして青竜と死闘を展開することとなります。

 今回は最終巻ということでバトルシーンが多かったせいか、これまで以上にアイテムやガジェットの設定消化に懸命で、正直なところ、戦っている時以外は説明を受けていたような印象があるのですが、しかしその分(?)クライマックスの青竜戦の迫力はかなりのもの(ちょっとビジュアルで見てみたいと思ってしまいました)。
 何よりも、戦いの中でそれぞれがそれぞれの戦いの目的を自覚し、守るべきもののために全ての力を奮って立ち上がる様は、やはり実に気持ちのいいものがありました。

 物語が終わってみれば、吾郎とみさ可にかけられた呪いが今回はあまり目立たないうちに消えてしまったりと、消化不良の部分もなきにしもあらずですが、伝奇バトルと成長物語と、二つの側面がバランスよく盛り込まれ、また結末も――後の歴史を知る者にとってはいささか複雑に感じる部分もありますが――全て収まるべきところに収まった、後味の良いものであったかと思います(きじゅ丸の本当の(?)名前に今頃気付かされてちょっと驚きました。今頃気付く自分が間抜けすぎる)。

 対象年齢の約三倍のおっさンがあれこれ言うのも痛々しい話ではありますが、粗い部分はあるものの、時代ものの根っこを残しつつ、ファンタジーとして自由に世界と物語を展開して見せた様は、理屈抜きに楽しく、なかなか良くできた作品ではないかと思った次第です。

 なお、時海結以先生のサイトでは、本作のバックグラウンドの解説が掲載されており、なかなか興味深く拝見させていただきました(いぶきは世良親王だけど世良親王じゃないんだ…など。どうも「実は○○は生きていた!」なお話ばかり読んでいるので、歴史上の人物の生死に無頓着になってきていかんです)。
 また、時海&ゆずかコンビは、現在毎日小学生新聞で「おうばがふところ」なる平安ファンタジーを連載中とのこと。なかなかおっさンには読みにくい媒体なので、単行本にならないかな…と期待しているところです。


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