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2007.06.09

「oguna takeru-SUSANOH~魔性の剣より-外伝」 その変化の重みは

 本編第四巻とどちらを先に紹介しようかと考えましたが、やはり結末のことを考えるとこちらかな――というわけでこちらを先に紹介。「takeru-SUSANOH~魔性の剣より-」の主人公である三人のタケルの一人、オグナノタケルの過去を描いたオリジナル外伝です。

 天帝国の第二皇子として生まれながらも国を捨て、冷徹な暗殺者として一人天帝国に戦いを挑むオグナは、原作舞台では粟根まこと氏が好演、氏の当たり役の一つと言えますが、この三人のタケルの中でも最もおいしい設定であるオグナが、何故このようなキャラクターとなったかを語るのが本書。
 オグナの天帝国出奔から本編第一話の直前まで、それぞれのエピソードの中でオグナと関わりを持つこととなる人物の名を冠した全五話から成る短編連作形式なのですが、これがまた実に暗い。

 父の野望のために体の何割かを土塊と機械に変えられた一種のサイボーグという彼が、父には道具として扱われ、兄には疎まれ、心を開いた相手を喪い、天帝国の非道を目の当たりにし…いや実に陰々滅々、こんな目に遭っていれば、それは確かにああいうキャラにもなるかと感心すらしてしまいました。

 もっとも、その基本設定からして明るくなる物語ではないのでこれはむしろ織り込み済みというべきでしょう。作品としては、個々の作品に結びつきを作りつつ、一話ごとにドラマとアクションを手際よく配置してみせた手法はなかなかのもの。また外伝としても、オグナのトレードマークである仮面やお供のカラスの由来を描いた上で、それが実に彼の存在を象徴するものであったことをきっちりと見せてくれたのは収穫でした。

 そして何より――本書においてはとことんまで人に追いつめられ、自分を追いつめていったオグナが、本編でどのように変わっていったか、そしてその変化がどれだけの重みを持つものだったのかを教えてくれたことにより、本編の(特にラストの!)味わいがまた深まったかな、と感じた次第です。


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