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2007.06.12

今週の「Y十M 柳生忍法帖」 そしてまた一人…

 お千絵お笛が会津から脱出する途上、猪苗代湖上を行くところを折悪しく芦名衆に発見されてしまった一行…というところで続くとなった前回(本当、足跡を消すトリックくらいは用意してしかるべきですね!)ですが、さて続々と追ってきた芦名衆の舟を相手に、いかに戦うのか、はたまたいかに逃げおおせるのか…

 当然、追いつかれればただ斬って斬って斬りまくるのみという覚悟のお千絵お笛ですが(こんな時でも語尾が「ゥ」なお笛が可愛い。ある意味原作から一番変わったのはこの子じゃないかしらん)、残念、そんなことができるのは十兵衛先生くらいのもの。何よりも彼女らには天海僧正に銅伯のことをチクるから銅伯の秘密を聞き出すという大事なお役目が…
 というわけで当然これを止めた坊さんたちですが、これが腕っ節ということであればたぶんほりにょ以上に頼りない方々。さて、一体どうしたものかと思いきや、坊さんの一人、十乗坊が、自分のことを他の四人の陰に隠れさせて、さてどうするか――と、舟の上から湖水にこっそりと入るのでした。

 これ、一見、大したこともないように見えますが、季節は冬。ましてや場所は雪深い会津で、そんなところで湖の中に入るとは――ほら、陸地と見まごうほどに氷までブ厚く張っているのに。
 そんな湖水に平然と入っていくという意表を突いた行動はさすがに盲点だったのか(もちろん、追っ手の目から隠れて水中に入ったということもありますが)、追ってくる先頭の舟に近づいた十乗坊は、水中から舟幽霊よろしく船縁に掴まって、舟をグググッと傾けます。当然、ただでさえ一杯に人が乗った舟が傾いてはたまらないわけですが、ここで当然の行動と言うべきか、芦名衆の一人が、これをズンバラリンと斬りつけるも――しかし時既に遅しと言うべきか、いやいやこれはむしろこの一撃でとうに落命していたでありましょう十乗坊の執念を讃えるべきか、舟を傾ける力は止まることなく、遂に芦名衆もろとも舟は転覆。冷たい冷たい湖水の中に彼らも投げ出されるのでありました。

 と、寒くてたまらぬと仲間の舟に這い上がろうとする芦名衆を、船上の連中は邪魔だと文字通り切り捨てて、自分たちのみ先に進もうとします。刀で十乗坊を斬った側が今度は仲間から斬られるとはもの凄いスピードの因果応報ですが、何はともあれ一種同士討ちで仲間を減らすこととなった芦名衆。所詮は悪人、仲間意識なんて薄いことで…というよりは、もちろんこれは一般人の身でありながら、梁山泊の水軍並みの奇襲をしてのけた十乗坊を讃えるべきでしょう。彼と同じ臨済宗の快川国師が火中に滅する際に「心頭滅却すれば火も亦た涼し」と残したのは有名な話ですが、これはさしずめ「氷も亦た…」あ、いやこれは今回は止めときましょう。今はただ、勇気ある最期にただただ合掌するのみ。

 何はともあれ、かつて鷲之巣廉助の動きを封じて散った二人に続いて、第三の犠牲者が…それでも、彼の犠牲にもかかわらず、まだまだ追っ手はかなりの数。ここで女人二人と薬師坊を先に行かせ、三人の坊さんが残って――というところで以下次号。今週の展開を考えれば、この二人が何をするつもりかはわからなくとも、何のために残ったかは痛いほどわかりますが…さて。

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