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2007.06.23

「幕末機関説いろはにほへと幕末活動絵巻物」 ムックから浮かび上がる思い

 Gyaoでの放送終了直後に発売が予告されながら延期となっていた「幕末機関説いろはにほへと」のムック「幕末活動絵巻物」が発売されました。書き下ろしの耀次郎と赫乃丈の表紙が目印です(裏表紙は蒼鉄先生と左京之介。色男ばかりですなあ)。
 内容としては、雑誌等に掲載のイラスト再録に、人物設定紹介に各話ストーリー紹介、時代背景(年表)紹介、そしてキャスト&スタッフへのインタビューと、まずはこの手のムックとしては標準的な内容でしょう。

 人物設定の辺りは、各キャラの服装や小道具に色々と工夫があったことがうかがわれたり、設定画の脇にちょっと書かれたコメントがまた面白かったりと、本編をただ見ているだけではわからないような部分もあってなかなか興味深く読むことが出来ました(しかしクイーンのところに「ひかえめでサド気質」なる記載が! 本編ではあんまり発揮していなかったですが、あんた一人で幾つ属性持ってるんだ!?)。また、幕末史に詳しい人は大喜びだよな、というくらいに細かく設定があったりと、史実に即した部分には相当に力を入れていたことがわかります。この辺りにはスタッフの熱意というものを相当感じますし、心意気として実に嬉しい話ではあります(が、この辺りについては後述)
 さらに年表のページでは、本作で起きた事件が日にち単位で掲載されていて――相当に史実に即した作品であったとはいえ――年表マニアとしては非常に嬉しい内容でした。

 ちなみに、個人的に拘っていた蒼鉄先生の来歴については、お公家さんたちの人物設定のところでは「五百年前の政変で都を追われた一族の末裔」と、さらっと流されていてがっかりしたのですが、チーフディレクターの大橋氏のインタビューでは明確に蒼鉄先生が南朝の末裔と明記してあって一安心(?)しました。蒼鉄先生、鷹天皇と一緒に暮らしていたんかなあ<他の作品と混同しない!

 インタビューと言えば、この手の本で一番楽しみなのはこのインタビュー。本書では、キャストでは耀次郎役の浪川大輔氏、赫乃丈役の佐藤利奈氏(本人も綺麗な方でびっくり)、蒼鉄先生役の井上和彦氏が、スタッフでは原作・総監督の高橋良輔氏、チーフディレクターの大橋誉志光氏、シリーズ構成・脚本の宮下隼一氏、殺陣・時代考証の牧秀彦氏と、本作のメインどころを網羅。
 内容でやはり面白かったのは耀次郎の台詞の少なさに関する部分で、台詞が「!」のみだったりして浪川氏が「記号声優」呼ばわりされたり、高橋監督に「僕の作品の中で、一番喋らないキャラクター」と言われたり(キリコを超えた!)耀次郎という特異なキャラクターへの周囲の接し方が微笑ましく思えました。
 その他、本作が当初は戦国時代を舞台とした「戦国機関説」の予定だったが、若い世代により親しみのある時代ということで幕末に変更したことなど、時代劇の企画作りの過程に関するエピソードとして印象に残りました(あとは高橋監督の「龍馬が今、中東に生まれてくれたらな」発言が、あまりにもらしくてちょっと受けた)。


 というように、本書自体は、作品を見てきた人間としては楽しめたのですが、作品自体について、色々な思いが浮かび上がってきたのもまた事実。
 先に述べたように、本書からは、作品における人物設定や時代考証へのこだわりが随所から伝わってきますが、しかし、それが作品そのものの面白さに必ずしも直結してこなかったのではないかな…という、作品の放送時から頭の隅にあった思いが、本書を読んでいて強く浮かんできました。もちろん、これは本作特有のことではなく、時代もの全般に言えることかもしれませんが、これは中盤以降の展開で、耀次郎らの存在感が些か薄れたことと無縁ではないかと思います。
 さらに厳しいことを言ってしまえば、スタッフインタビューを読むにつけ、本作を見ている際に感じた「ここはこういうことを表現したいんだろうけれども、今ひとつ伝わってこないんだよなあ…」という印象が(残念ながら)間違っていなかったなあ、と。耀次郎のキャラ立てや、物語のテーマ・方向性など、本編を見た後であれば、スタッフの語るところは実によくわかるのですが、しかしそれが本編のみを見たときに十全に伝わってきたかと言えば…もちろんこれは、私の読解力のなさを棚に上げての発言ではありますが。

 本書を通して、思わぬところで色々と考えさせられてしまったことです。


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声優で大活躍中の浪川大輔さんのファンの中の一人が書いたブログです。ガンダムなどのアニメや数々のゲームやCMなどで活躍する彼ですが今後も幅を広げていくのは間違いありません。そんな彼を追っていきたいです。 [続きを読む]

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