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2007.07.27

今ごろ「必殺仕事人2007」

 放送からだいぶ時間が経ってしまい恐縮ですがが、実に十五年ぶりである必殺シリーズのTV作品「必殺仕事人2007」を観ました。旧来の必殺キャストは藤田まこと演じる中村主水(一家)のみ、メインとなる仕事人三人は全員ジャニーズということで、さてどうなるのかな、と思っていましたが、個人的にはそれなりに楽しむことができた作品でありました。

 ストーリー的には、キャスト目当ての、必殺ビギナーを対象にしたものかさして捻ったところはなく、むしろ新たな仕事人チームの誕生編といったところでしょうか。南町奉行所筆頭与力・鳥山と組んで悪事三昧の悪徳商人・加賀屋一味の息の根を止めるため、南町の常回り同心・小五郎(東山紀之)、抜け忍の絵師・涼次(松岡昌宏)、カラクリ屋の源太(大倉忠義)の三人+主水が集結、仕掛けを行うというもの。しかしそこに、図らずも表でも裏でも前任後任になってしまった主水と小五郎の出会い、涼次と彼に対する追っ手であるくノ一・玉櫛の関係、源太の悲恋と復讐といった、メインキャラそれぞれのドラマが絡んでくるため、間延びした印象はありませんでした。

 キャスト的には上記の通りほぼ総取り替え、しかもかなり若い面子…というのが放送前には気にかからないでもなかったのですが、考えてみればメンバー総取り替えも若手の積極的な投入も必殺の得意とするところ。それがしかも芸能事務所の中で最も若手を時代劇に送り込むことに熱心に思えるジャニーズのメンバーであれば、その辺りの懸念はまずは杞憂で、違和感なく見ることができました。
 ことに、松岡昌宏演じる涼次の、抜け忍ながら暗さは微塵もなく、今は己の絵筆一本に誇りを込めた江戸っ子絵師稼業、そして大の食道楽というキャラクターがユニークで、実に良いキャラとなっていたかと思います(食道楽ってのが池波リスペクト…というか、あのテンションの高いエピキュリアンぶりはむしろ鉄かしらん)。
 まあ、殺し業の無茶っぷりはアレはアレでいいネタということで…

 また、主水と同じく婿養子ながら、妻の手料理責めに辟易としているという対比がユニークな小五郎も、主水の後継としてはやはり色男すぎるものの、主水とはまた異なるベクトルの飄々とした昼行灯ぶりがなかなか良い造形であったかと思います。
 また、ストーリー展開上仕方ないとはいえ、あまりに仕事料が安すぎて、これはどうなの? と思ったところに、当のターゲットから押しつけられた口止め料をスッと取り出して、
「自分を仕事にかけてくれとたっての頼み。断れなくて受けてしまいました」
という実にイイ台詞と共に仕事料に上乗せしてくるシーンが――これは脚本の功績かもしれませんが――実に鮮やかで印象的でした。

 しかし驚いたのは、ラストの仕掛けである筆頭同心退治は、これはさすがに主水がやるのだろうと思いきや、主水は完全に脇に回って、小五郎が堂々と勤めたこと。冷静に考えれば当たり前の展開ではありますが、ここまではっきりと世代交代を描かれるとは…という印象でした(そーいや主水さんは死んだはずだって? いや、あの人たちは何かの拍子にタイムスリップとかしちゃうから、ほら、そういうことで)

 もちろん、良い点ばかりではなくて、荒削りであったり掘り下げが足りなかったり、という部分も色々と目に付いたのは事実。特に、全くの一般人であった源太が仕事人に加わる件があっさりしすぎていて――そのくせ仕事になると強んだまた――、その辺りの葛藤が欲しかったな、という気が強くしましたし、涼次を付け狙いながらも殺せず、自らも抜け忍となってしまう玉櫛の扱いも、どうにも中途半端ですっきりしないものがありました。
 特に後者は、玉櫛を演じる水川あさみが見事なクールビューティーぶりの上、こっそり涼次の住処に忍び込んでブリ大根食べちゃったりという茶目っ気もあって、なかなか良いキャラクターであっただけに実に残念…このままつかず離れずのカップル仕事人でも良かったのではなかったかな、と思います。
 も一つ言えば、敵が今時(という言葉を時代劇に使う理不尽さよ)地上げ屋で、しかも働く悪事が相当頭の悪いものというのが…石橋蓮司・佐野史郎・伊武雅刀という、インテリ変質者的役者を揃えておいてこれはちょっともったいなかったかと思います(特に石橋・佐野親子が実にいい意味で厭なオーラを出していただけに…)

 とはいえ、この辺りはまあ許容範囲。連続シリーズは無理にしても、年何回化のスペシャルドラマ化は狙っているでしょうし、上記の不満点も、その中で解消されていくのでは…というのは楽観的すぎますかそうですか。
 もちろん、昔からの熱心極まりない必殺ファンであれば、さらに厳しい感想があるのではないかと思いますが、本作が狙っているであろう視聴層を考えれば、まずは健闘したのではないかな、と私としては思った次第。

 そんなわけで続編を強く希望いたします。

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