« 今週の「Y十M 柳生忍法帖」 沢庵説法地獄 | トップページ | 「若狭殿耳始末」 室町よりの闇電話 »

2007.07.18

「シグルイ特別版 見れる、見れるのだ!」

 もう明日から本放送開始という時期の紹介で恐縮ですが、現在WOWOWのサイトで公開中の「シグルイ特別版 見れる、見れるのだ!」を観ました。アニメ第一景「駿府城御前試合」に加え、若先生こと漫画「シグルイ」の作者である山口貴由氏のインタビュー映像が冒頭に挿入された内容で、原作ファン(「駿河城御前試合」の方も、「シグルイ」の方も)にとって実に興味深い内容でした。

 冒頭のインタビュー映像は、若先生の原作「駿河城御前試合」そして自作「シグルイ」への想い、そしてアニメ「シグルイ」への期待を語るという内容で、特に前者はこれまでも雑誌インタビュー等で語られている内容ゆえさほど新味はなかったのですが、何と言っても、訥々と語る若先生自身の口調の中に重く熱いものが籠もっているようで、印象的でした。何だか藤木とダブりますね。

 そしてアニメ第一景は、原作の第一景「駿府城御前試合」から第三景「一虎双竜」の半ばあたり、すなわち忠長の切腹から御前試合の開幕、そして過去に戻って藤木と伊良子の最初の対決を経て、牛股の「不作法お許しあれ」までが描かれておりました(しかし今見てみるとずいぶん藤木が感情豊かだなあと感じますが、原作でも初期はこんな感じだったのですね)。
 そのクオリティはと言えば、まずもって合格点と言ったところでしょうか、緊張感溢れる映像で、久々に背筋を伸ばしてアニメを観てしまいました。
 画面の色合いは、ほとんどモノトーンに近いほどの抑えめ、登場人物の描写や声優陣の渋い演技、またOPEDともインストゥルメンタルということもあり(ただし今回の放送は無料放送用の特別版とのことなので、本放送では変更になるかもしれません)、雰囲気的には白黒時代の時代劇映画を観ているような印象で、ここまできっちりと作ってくるとは…と嬉しい驚きです。

 内容的にも基本的には原作に忠実だったのですが、目についた違いと言えば、原作では非常に印象的に使われていたナレーションの類が、ほとんどなくなっていたことでしょうか。このナレーションは、原作ではある意味台詞以上に名フレーズが多く、間違いなく原作の魅力の一つではあるのですが、これをアニメでそのままやるとナレーションの出番が異常に多い作品になりかねませんので、まずは仕方のないことでしょう。
 そんな中で面白かったのは、虎眼流の道場破りに対する心構えである「他流のもの丁重に扱うべし 斃すことまかりならぬ 伊達にして帰すべし(後略)」を、藤木と伊良子の対決を見守る虎子たち――宗像・丸子・ちゅぱ・興津が、リレーするように次々と唱えていくという形で描かれていたことで、これは原作ではこの時点では未登場だった虎子たちの顔見せという意味も含めて、実に面白いアレンジだったかと思います。

 ちなみに原作にあった残酷描写は、例えば冒頭の鳥居土佐守の腸掴み出しはCGとモノクロ描写の組み合わせで描かれていて、ああ、頑張って工夫したんだなあ…というところでしょうか。また、若先生のピンナップ等によく登場する、藤木や伊良子の骨や内臓が透けて見える画も思わぬところで挿入されていて、この辺りの描写には感心させられました。

 もっとも、冷静にみればバンクや止め絵が相当多く、当然全力投入してくるべき第一話でこれはちょっと不安要素ではありますが、しかしその辺りもこの第一景では違和感なく使われており、これはこういう演出と、考えてもいいのかもしれません。
 何はともあれ、クオリティについては定評のあるマッドハウス製作なので、ここは今月十九日からの本放送でのお手並み拝見、というべきでしょうか。

 ちなみにアニメの公式サイトでは、第六景までのサブタイトルが公開されていますが、それぞれ「駿府城御前試合」「涎小豆」「鎌鼬」「童歌」「秘剣伝授」「産声」と、原作読者であれば、これを見ただけで一発で内容がわかるでしょう。しかし全十二話の半分でこの内容ということは、やはりアニメ版は虎眼先生の死辺りまでなのでしょうね。


関連サイト
 公式サイト
 公式ブログ

|

« 今週の「Y十M 柳生忍法帖」 沢庵説法地獄 | トップページ | 「若狭殿耳始末」 室町よりの闇電話 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/15794729

この記事へのトラックバック一覧です: 「シグルイ特別版 見れる、見れるのだ!」:

« 今週の「Y十M 柳生忍法帖」 沢庵説法地獄 | トップページ | 「若狭殿耳始末」 室町よりの闇電話 »