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2007.07.29

「モノノ怪」 第三話「海坊主 序ノ幕」

 「モノノ怪」第三話は本作二番目のエピソード「海坊主」の開幕篇。これまでと舞台を異にして、大海原の上の閉鎖空間にて、新たなモノノ怪の物語が始まります。

 舞台となるのは、江戸へと向かう大型商船「そらりす丸」。船とは思えぬほど巨大で豪華建築を思わせる内装を誇るこの船に乗り合わせたのは、自称修験者の柳幻殃斉に、旅の武士・佐々木兵衛、老僧に忠実に仕える青年僧・菖源、「化猫」事件の生き残りである加世、そして我らが謎の薬売りといった面々。
 これだけ怪しげな人々が集まれば、当然(?)ただで済むわけがなく、何者かの手により羅針盤を狂わされた船は航路を外れ、奇怪な空間に迷い込みます。幻殃斉の「アヤカシの海」の言葉を裏付けるように船の上空から現れた巨大な岩塊の如き怪物体(いやあ、ルルイエキタコレ! と焦りましたよ)は、無数の魚の骨のようなアヤカシを生み出して船を襲撃。かろうじて薬売りの爆弾で当座は難を逃れた一行ですが、誰もが怪しい船上は次なる惨劇の予感を孕んで…

 といったお話であったこの序の幕は、これまでと打って変わって、あるいはこれまで以上にコミカルかつ派手な印象の展開。正直なところ、舞台が豪華な巨船ということで、放送前は結局これまでと同じ閉鎖空間でのサスペンスで終わるのでは…と心配しましたが、屋内では到底出せないような大仕掛けなアヤカシが出現する一方で、逃れる場のない船という場での犯人探しの趣向を取り入れて、良い意味でこれまでとは異なる味わいの物語を展開していたかと思います。

 ビジュアル面でも、ある時はクリムトの官能的な絵画のような、またある時はマグリットの騙し絵のような、いつものことながら不思議に蠱惑的な、そして見事にジャパナイズされた、一目見たら嫌でも目を引き寄せられるような画面が構築されていたかと思います(このビジュアルが物語の真を暗示していたりするのでまた油断できないのですが…)。
 個人的には、風が吹くときの描写のときの小技が実に綺麗で気に入っています。

 しかしこの「海坊主」の最大の魅力は、その面白すぎるキャラクターのインパクトでしょう。
 呪術師と言いつつ、どう見ても瓦版の読売にしか見えないビジュアルの柳幻殃斉は、最初から最後までの長弁舌も加わってうさんくさいことこの上なしの面白すぎるキャラクター。関智一氏の軽妙なしゃべりも相まって、少なくとも存在感の点では薬売りのライバルと言って良いかもしれません。
 その他、日野日出志チックな外見に似合わぬ女性的な高音ボイスが何とも言えぬ不気味な印象を与える佐々木兵衛、そして、これはもしかして時代アニメ史上に残るキャラクターデザインになるのではと思わされる――声の浪川大輔氏(この方も最近の時代劇アニメにはほとんど登場しているような気がしますな)も「キャラクターを見てビックリ、衝撃でした」と発言しているほどの――見ちゃいけないものを見た感すら漂う菖源と、密室ものには理想的な、個性的なキャラクター勢揃いであります。
 薬売り以外で唯一再登場の加世は、正直騒ぎすぎの印象で、本作のイメージからすれば違和感もありますが、ほとんど唯一の一般人であり、視聴者の代弁者的立ち位置にいることを考えれば、これくらいでもいいのかもしれません。

 さてさて航海の方は不穏極まりない出航ですが、作品としては上々の出だし。何を考えているかさっぱりわからない薬売り(あのラストの台詞は完全にワザとだろ。楽しそうだなあこの人)の動向も含め、これからモノノケの真と理がどのように描かれていくのか、非常に楽しみです。


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