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2007.08.09

今週の「Y十M 柳生忍法帖」 一心同体、不死人二人?

 今週の「Y十M 柳生忍法帖」も二元中継、会津城地下の祭壇で沢庵和尚らと対峙した芦名銅伯、上野寛永寺で千姫様たちと対面した南光坊天海、それぞれの姿が描かれます。

 さて、前回ラストに般若侠と自分の首の交換によって首合戦の打ち止めを申し出た銅伯ですが、もちろん沢庵がそれを飲むわけがない。無惨に殺された堀一族の代わりに明成と残る二本槍の首をもらい受けて、初めて勘定が合うと大見得を切ります。
 …そういえば和尚の台詞見るまで、漆戸・香炉の二人を殺さないといけないのを忘れていました。ほら、あの二人もう存在感ないし、放っておいても十兵衛先生にバッサリやられそうだし<それはルール違反
 さて、その回答は予想済みであった様子の銅伯は、不敵な笑みを浮かべると目を閉じて…コックリコックリと船を漕ぎ始めてって、おじいちゃん呆けちゃった?

 一方、寛永寺で自分と銅伯の因縁、そして銅伯の野望を語る天海僧正。銅伯にとっては芦名家存続・復興こそが大悲願、そのためには会津に封じられた大名の懐に潜り込み、その血筋を芦名のものに変えんとして暗躍してきたのでありました。つまりは娘のおゆらを明成に差し出したのはそのためであり…自分の野望の障害となる堀一族を滅ぼさせたのもそのためであった、と。
 あ、なるほど、この戦いの発端である堀一族と明成の対立は、表面的には硬骨の臣と暗君の争いでありますが、芦名衆は単に明成の手足となっただけでなく、そもそも芦名衆こそがこの争いの背後で糸を引いていたと――サラッと書かれていますが、これはちょっと凄い話かもしれません。
 こう見てくると、明成がお千絵に目を付けたのは、銅伯にとってはまさに奇貨、渡りに船だったのかもしれません。さらに言えば、いずれは公儀に目を付けられること間違いなしの明成の大乱行を黙認し、むしろ煽ってきたのは、バカ殿を自滅させて、その跡に芦名の血を引く子を入れようとしていたのかもしれません(もちろんそれにはおゆらさんに子ができねばならず、また正室には既に子がいるわけですが、それぐらい銅伯ならどうとでもできるでしょう)。

 そして視点は再び地下祭壇、居眠りしているぬらりひょんの何がそんなに怖いのか、狂女のふりも忘れておとねさんがおびえるなか、始まったのは奇怪な儀式。二本槍がなにやら怪しげな呪文を唱え(それにしてもこの二人がこういうことやってると違和感がもの凄いですね。特に剣術バカっぽい漆戸さん)、脇に控えていた裸女二人は何とリスカしてその血を鉢の中に…

 さてまた寛永寺に戻り、遂に天海僧正が語ったのは、銅伯を殺せば、天海僧正の命も絶えるというあの千姫様をして顔色を変えさせる大秘密。
 銅伯を殺せば天海も死に、天海が死ねば銅伯も死ぬ。裏を返せば、銅伯が生きていれば天海も生き続け、天海が生きていれば銅伯も…どんだけ二人の絆が強いんだ、という感じですが、「バジリスク」版薬師寺天膳もちゃんと生まれていたらこうなっていたんでしょうか。
 もっとも、冷静に考えれば、両者の釣り合いがとれればといっても、それはあくまでも元気な頃の事故や病気に対してであって、いずれは老衰でどちらもダウンするような気がするんですが――よく考えたらどう見ても老衰とはほど遠そうな二人なので、ごめんやっぱ無理。

 しかしこの二人の関係、まるで魔王サイコとサイコラーの関係。あ、ということは二人同時にぬっ殺せばいいじゃん! と思っても、もちろんそういうわけにはいかず。天海僧正がなんの悪事を為したわけでもなく、そして何よりも天海僧正といえば、徳川将軍三代の帰依厚い人物。むしろ徳川幕府の最高顧問と言うべき存在であり、僧正にどれだけ発言力があったかと言えば、第三代将軍選びのために甲賀と伊賀の忍者のバトルロワイヤルなんてバカアイディアを提案して、それが通ってしまうくらいですから。
 いやはや、藪蛇というかなんというか、敵の弱点を聞きに行ったはずが、出てきたのは自分たちを縛る鎖というのが何とも皮肉であり、また、一読者にとっては実に面白い話です。この辺の物語に対する縛りの設定のセンスが、やはり山風先生は抜群ですね。
(もっとも、この辺りある程度予備知識がないとわからない話であって、それをどのように見せるかは、せがわ先生の腕の見せ所でしょう」

 そしてラストは再び会津城地下。奇怪な儀式が続く中、銅伯の背後の鏡に、何と遠く江戸にいるはずの天海僧正の姿が映ったところで、以下次の次の…ではなくて次号。えっ、四号連続掲載!? と一瞬喜んだのですが、お盆休みが入ってヤンマガ自体来週お休みなので、結局一週間が空いてしまうのでした。残念。

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