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2007.08.14

「泣く侍」第二巻 地獄に仏、か…?

 最近、私が「コミック乱ツインズ」誌で唯一、毎月楽しみにしている作品である「泣く侍」の第二巻が発売されました。物辺総次郎が辿る修羅道にまだまだ先は見えませんが、それでもこの巻では頼もしき仲間となるであろう人々も現れ、まさに地獄に仏、という印象です。

 姪の沙絵と共に江戸に向かう総次郎に次に迫る魔手。それはごく普通の市井の人々の姿を変えて襲い来る、雇われ忍びの群でありました。その毒針に自由を奪われ、絶体絶命の総次郎(…なのですが、このシーンの総次郎が、ほとんどホラー映画の怪物みたいなテンションで大暴れする様はある意味必見)を救ったのは、何と旅芸人の一座。
 蟻助と名乗る老人以外、ほとんど全員が年端もいかぬ子供たちである一座に拾われて療養する総次郎と沙絵は、久方ぶりに安らぎを味わいますが、もちろんそれで収まるわけがない。蟻助と浅からぬ因縁を持つ邪悪な忍びの頭領が、僕らのヒーロー・伊藤清之進を操って(清之進様は総次郎のことになると文字通り盲目になるからなあ)総次郎らに襲いかかります。

 と、今までひたすら孤立無援で戦ってきた総次郎に、何と味方が――それも一人二人でない人数、しかも妙齢の美女まで――現れた今回。これまでのひりつくような緊張感に満ちた展開が崩されるのではと心配になりましたが、しかしそれは同時に更なる敵の登場と因縁の存在を語るものであり、まだまだ総次郎は楽にはなれそうにありません。
 何よりも、たとえ並の人間ではないとはいえ、旅芸人の一座はほとんど全てが女子供。味方が一転、足枷となることもあるわけです。元々が女子供に全く容赦しない作品だけに…

 と、物語の方には動きがあった一方で、その物語を彩る、異常なまでに情念と狂気と迫力に満ち満ちた画風は変わらず。いやむしろパワーアップ。何もそこまで恐ろしく描かなくても…と言いたくなるほど、子供たちなど一部を除いて、物語の登場人物、構成要素が全て怖い(味方のはずの蟻助老人が一番怖い)。その描写たるや、ほとんどホラーの技法で…と、作者はホラー漫画においても名手なのですが。

 ほんのわずかとはいえ光明が見えてきた総次郎の旅。敵の姿や目的も少しずつ見えてきましたが、しかし、まだまだ彼を待つのは茨の道でしょう。しかも後ろからは清之進様もついてきますし。果たして彼は守るべき者を守り、生き延びることができるのか。これからもまだまだ不安の種は尽きず、こちらもしっかりハラハラさせていただこうと思います。


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