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2007.08.15

「大江戸ロケット」 拾九発目「とち狂って候」

 さあほとんど最終回直前のノリとなってきました「大江戸ロケット」、Web拍手で声援もいただいたので頑張って感想書きます。
 今回は作画的には崩壊手前という感もありましたが、とにかく後から後からギャグやらパロディやらシリアスやらが飛び出してくるテンポの良さは健在で、間違いなく本作のクライマックスの一つであろう展開を、大いに盛り上げてくれたと思います。

 さて前回のヒキ、赤井の短筒で背中からズドンとズドンとやられた清吉ですが、銭酸…じゃなくて銭帷子でがっちりガード。しかしそれならばと刀を抜いた赤井の前には手も足も出ず、黒衣衆を向こうに回していたおソラさんは、見るに見かねておソラさんは自分の身を差し出すと…
しかしこの辺りの、自分の暗黒面を露わにして清吉をいたぶる赤井様の迫力はなかなかのもので、自分の不安定な身分を語った上での「テレビで見るより遥かに厳しい」という台詞は、何だかもんの凄い説得力で思わずうなづいてしまいました。
 しかし、確かに原則一代限りのお役目である町方にとって、役目から外されるというのはそのまま幕府のお役人という身分をも失うわけで大いに恐ろしかっただろうとは思いますが、現実にはよほどやらかさない限り世襲のお役目ですし、町人や武家屋敷からの付け届けのおかげで普通の役人よりかは余程裕福で、また隠密廻り同心といえば実際に事件の捜査に当たる三廻同心の一つで花形であったはずなのですが(あ、隠密廻りだから付け届けはないか)、どうなんでしょう(この辺は自分でもう少しちゃんと調べてみないといけないかな)。

 それはさておき、そこにタイミング良く駆けつけたのは天鳳天天。前回赤井宅で発見した獣爪に、青い女が獣に変身する決定的瞬間を収めたビデオまで出てきて絶体絶命。何とかごまかそうとはしたものの、ツッコミ体質が災いしてか、あまりに天然すぎるおソラさんへのツッコミの中で超自爆――この辺りのやりとりの呼吸は、新感線ファンなら「あるある」と言いたくなるような実に見事な呼吸の自爆劇で、大いに笑わせていただきました。
 しかしハルヒダンスから大伴昌司ってどんだけ幅広いんですかこの番組のネタは。

 さらにそこに現れたもう何言ってんだかわからないテンションで吼える若本耀蔵にばっさり袈裟懸けに峰打ちされて捕らえられた赤井。しかし鳥居様の刃は収められることなく、そのままおソラと清吉に向かいますが――そこに突如現れて立ちふさがったのは、どことなく若き日の山口崇似(に見えるのは思いこみかなあ)の美形剣士!? この期に及んで新キャラ? と思えば何とそれはご隠居=平賀源内。お手製の若返り薬で一瞬だけ若返っての登場でしたが、インパクトは十分でした。

 さらに、そこに駆けつけた遠山様が携えていたのは水野忠邦の書状。おソラに清吉、みんなまとめてお構いなしというその書状の前にはさすがの鳥居様も怒りに燃えつつも逆らうわけにはいかず、赤井も捕らえられて、これにて一件落着…?
 ちなみに、水野様の書状圧力であっさり難関クリアというのは、正直あまりすっきりしない展開ですがこれは原作舞台通り。しかし、やはりご隠居の正体ばらしのタイミングは舞台通りこのシーンの方がインパクトが大きかったような…いや、これ以上ネタを増やすと焦点がぼやけるか。
 また、ここまでの件で示される、私利私欲のためなどではなく、ただ日の本を守るという信念のために行動する鳥居像は、明確に「天保異聞 妖奇士」の鳥居像と重なっており、ビジュアル的には正反対ながら、二つの作品で一本筋の通った描写にはニヤリとさせられます。

 が、怒濤の展開にすっかり忘れていましたが、青い女はまだ健在。その場に乱入した青い女は赤井を救い出した上に、勝利のメイクラブと言わんばかりに熱烈な接吻を交わして――まったく、公衆道徳ってもんを知らないから近頃の宇宙人は…そしてそれを思い出すたびに赤くなる清吉のおぼこぶりも凄い。
 それはさておき、赤井を連れた青い女は、自分から分裂した獣を追って消え、さらに黒衣衆が、そして赤井の裏切りをお伊勢から聞かされて怒りに燃える銀さんが、そして何よりおソラと清吉が、二人を追って舞台は秩父へ――
 …どうでもいい話ですが、眼が青い女に目ん玉を持っていかれたシーンは、人食いガラスにほじくられた目ん玉をあっさりはめ込んだタツマキみたいなオチになるかと思ったのに。

 さて江戸の騒ぎも知らずにマイペースの鉄十ですが、こちらはこちらで大騒動。何だか知らないが暴れ回るさゆりこと青い獣分裂体をなだめるのに必死になっていたかと思えば、いつも懐にいた謎の生命体が突然分裂体と融合、その催眠術(?)にやられて、分裂体にすっかり魅了されてしまい…
 そうとは知らず、それぞれの想いを胸に秩父に向かう者たちのうち、銀次郎と赤井が遂に激突。
 しかし、真っ正面から銀次郎を迎え撃った赤井が、「俺はこれから一生面白おかしく生きるのさ」と、奇しくもかつて銀次郎が大塩を失った時に叫んだのと同じ言葉を嘯くのが実にいい。同じ言葉を胸にしながらも対照的な道を歩むこととなった二人の行く末は…微妙に銀さんが崖から落ちて生死不明になりそうで怖いです。

 一方、ようやく鉄十のもとに駆けつけた清吉おソラが見たものは、辺り一面を掘っくりかえす鉄十と青い獣の姿。そうこうしているうちに獣が掘り出したのは――でっかいソラマメ!? 以前に登場した青い女のそれとは比べものにならないほどに巨大ですが、こんなに簡単に浮上できるのであれば、鉄十の言うかぐや姫は何故すぐに帰らなかったのか…


 というわけで、冒頭にも書きましたが、本当にもう最終回一話前と言われても信じてしまいそうな怒濤の展開。次回を入れてもあと七話もあるのに、果たしてこのあと一体どうなってしまうのか…(まあ、清吉の銀次郎越えの話がないといけないと思うのですが)。
 それにしても、今回登場人物の中の人たちがそれぞれに熱演していた中で、それとはちょっとベクトルの違った熱演を見せてくれたのが、鉄十役の橋本じゅんさん。暴れるさゆりちゃんをなだめるシーンやら、催眠術(?)でやられてちょっとダンディ方面におかしくなったシーン(本当、じゅんさんのエセダンディっぷりは粟根さんのエセ美形っぷりに匹敵するぜ…)やら、じゅんさんアドリブでやってない? と言いたくなるようなアレっぷりで最高でした。まあ、台詞のネタを見る限り、ちゃんと台本はあるようですが、普段からちょっとおかしい奴が、別の方向ににおかしくなったらどうなるか、その演じ分けが本当に見事だったと思います。表の「とち狂っ」た奴が赤井だとしたら、裏は鉄十と言ってもよいのではないでしょうか。何はともあれ、鉄十の出番がもっと増えることを祈りつつ、次回を楽しみに待つとします。


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コメント

こんばんわ~お久しぶりです。

DVDを予約するくらいに気に入ってる作品ですが、毎回の感想となると書き難くいものがあったり。

とにかくこれでもかってくらいネタを入れてきますよね。それで破綻せず、テンポも乱れないのは流石です。

ネタ一本のギャグアニメでもありませんしね。演出・脚本の技量の高さに驚くばかりでありますよ。

強いて言えば、清吉がもう一つ目立たないってところでありましょうか。

隠密廻り>付け届けはあったみたいでありますよ。同心は刃引きの刀しか所持出来ないのに、赤井の刀は、バッサリやれるみたいなので、そこら辺はフィクションという事なのでありましょう。

そういえば、来年の大河ドラマは『篤姫』だそうで、この作品と近い年代でありますな。

個人的には大友・竜造寺・島津の『九州三国志』とか、タブーに挑戦して壬申の乱あたりをやって欲しいんですね。

幕末だったら、桑名藩の雷神隊の立見尚文とか。日清戦争はこういう国なんで無理かなって気もしますけど。

立見将軍でなくてもいいんですけど、近代日本の成立という意味で幕末と等しく避けて通れない時代なのに、扱われないのが不満ではあります。

まぁ一生見れそうにないでありますがな(笑)

投稿: 涼木 | 2007.08.16 22:32

涼木さんこんにちは。こちらこそお久しぶりです。
本当に大江戸は、ネタの多さと同時に展開も起伏に富みすぎなので、一話一話の感想を書くのが大変ですね…(観る分には楽しいんですが)。
内容的には、わかっているスタッフの方々が、あえて滅茶苦茶やってきているから楽しいですね。

さて、隠密廻りの件ご指摘ありがとうございます。やっぱりうろ覚えで書くといけないですね…「隠密」という語感がどうもわかりにくくていけません。
刀の件は、むしろ葵の御紋をバッサリやってしまった方が気になっています。

大河ドラマは、チョイスが難しいのでしょうね…色々と大河の豪華キャストで観てみたい題材はありますが、やっぱりある程度メジャーじゃないといけないのかな…まあ、足利尊氏を主役にしたのが話題になるくらいですから、あまり期待しない方がいいのかもしれません。

投稿: 三田主水 | 2007.08.19 01:10

はじめまして!じょーじと申します。
僕も大江戸ロケットが大好きなので書き込み致しました。
感想記、とても楽しく拝見しました。
ひとつ質問があるのですが、ハルヒダンスは第何話の放送でしたか??
見返しているのですが探せません;;
覚えていらっしゃればお教えください。

投稿: じょーじ | 2007.09.01 23:14

普通に19話にありましたね^^;
今気づきましたーw
お騒がせ致しました。。

投稿: じょーじ | 2007.09.01 23:27

じょーじ様はじめまして。
思い出していただけて何よりです。いやー実は僕も一瞬思い出せなかったので(笑)

この番組は本当にネタが多いので、一覧表でも作りたくなりますね。

投稿: 三田主水 | 2007.09.02 23:09

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