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2007.08.18

「モノノ怪」 第六話「のっぺらぼう 前編」

 早いもので「モノノ怪」も早くも中盤にさしかかり、第五話の今回は三つ目のエピソード「のっぺらぼう」。色々と賑やかだった前回までとはガラッと趣を異にして、今回はメインに登場するのは三人のみ、その三人のやりとりで進む一種舞台劇的な味わいのある、ユニークなスタイルで描かれた今回ですが、しかし何が真で何が偽か、迷路の如く入り組んだ展開は変わらず、早くも次回が待ち遠しい内容でありました。

 夫と姑、義弟夫婦の四人を惨殺した咎により、市中牽き回しのうえ磔獄門に処されることとなった女性・お蝶と同じ牢に入ってきたのは、何とあの薬売り。女手一つで行えるとは思えない凶行の背後にモノノケの影を感じ取った薬売りですが、お蝶は言を左右にしてなかなか本心を見せません。
 と、そこに現れたのは仮面の男。お蝶を救い出しにきたこの男こそはモノノケの形…と打ちかかる薬売りですが、退魔の剣は男には反応せず、かえって男の術で薬売りは顔を奪われてのっぺらぼうになってしまう有様…
 そして牢を抜け出したお蝶と仮面の男ですが、たとえ一生追っ手に追われたとしても「あの場所」には戻りたくないというお蝶に対し、仮面の男はお蝶にプロポーズ(超展開)。お蝶もこれに応じ、美形声に似合わぬちょっともの凄い喜びっぷりの男は、仲間である奇怪な仮面たちが祝福する中、早速祝言を挙げようとしますが――そこに現れたのは薬売り。
 あっさりと己の顔を甦らせてみせた薬売りと仮面の男の第二ラウンドは薬売りに分があったか、薬売りの鏡に映し出された男は苦しみ悶え、そしてその顔からついに仮面が落ちて…以下次回。

 冒頭から「化猫」での初登場時を思い出させる饒舌さを見せる薬売りのすっとぼけぶりに煙に巻かれた思いの今回ですが(「味噌で煮ようが塩で焼こうが鯖は鯖」って敏樹ですかアナタ)、それに続く展開も謎また謎の連続です。
 物語の大半を占めるお蝶と仮面の男の会話の中身も、どれもこれも意味深に聞こえて戸惑うばかりですが、しかしその戸惑いが気持ちいいのがこの「モノノ怪」という作品。
 どれが伏線でどれがフェイクなのか、どこからどこまでが真実でどこからどこまでが偽りなのか、さんざん振り回され、次の展開を予想する(そして裏切られる)のが楽しくてなりません。

 今回を見たところで頭に浮かぶのは、やはり多重人格と内面世界、というテーマではあるのですが、では仮に仮面の男がお蝶の別の人格であり、二人が存在するのが彼女の精神の内面世界であるとして、ではそのどこに薬売りが――すなわちモノノケが絡むことになるのか。
 薬売りは全てをモノノケがお蝶を騙すための芝居と断じましたが、さてそれではモノノケが彼女を騙す、その目的は何なのか。なぜ仮面の男は退魔の剣に反応しないのか。さらに物語のそもそもに目を向ければ、何故お蝶は自らの行った殺人の詳細を記憶していないのか。四人を殺したのは本当にお蝶なのか。いや…そもそも殺人事件自体が存在したのか?

 そんな謎の数々に目を奪われつつも感心させられたのは、今回の舞台――というか背景。これまで大なり小なり、閉鎖空間でのサスペンスが描かれてきた本作ですが、ここでは閉ざされた女の心(本当に内面世界かどうかというのは別にして)という、思いも寄らぬ形で閉鎖空間が飛び出してきて、いやはやこの手があったか、という気分です。

 ちなみにその複雑な女ゴコロを見せるお蝶さんと、クールなんだか熱血何だかわからぬ仮面の男の、二人の声を当てるのは、「化猫」が放映された「怪 ayakashi」のご同輩(?)「天守物語」の主役カップルを演じていたお二人。内容的な関係はもちろんありませんが、現世の男と異界の女を演じた二人が、今回はある意味立場を逆転させた役柄をとなっているのはなかなか面白いことかもしれません。

 さて今回は前後編ということで、次回は早くも大詰め。正直なところ、この後に如何様にも転がすことの出来るお話ではありますが、それだけに予想がつかず大いに気を持たせられます。
 本当の「のっぺらぼう」は誰なのか――楽しみで仕方ないのですが、とりあえず次回はまさかの津波攻撃だけは勘弁していただきたいところです。


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薬売りが捕まってた…。 あの捕まった言い訳は本気で言ってんのかな…。モノノ怪退治が本業なのかもしれないけど、薬売りは薬売りでちゃんとやってるのかと思ってたんだけどな。 言い訳が嘘でモノノ怪退治のために忍び込ん... [続きを読む]

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疲労困憊うっきーです。 兄夫婦と3歳の姪っ子が帰省しています。子供のパワーというものは本当にすごい。 炎天下関係なし。朝も夜も関係なし。その元気を分けて欲しい。 さてさて、ヤングガンガン読みました!というか買... [続きを読む]

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