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2007.09.04

今週の「Y十M 柳生忍法帖」 沢庵ご乱心?

 さてさて芦名銅伯の思わぬ飛び道具・幻法夢山彦で天海僧正を人質に取られた格好になった沢庵和尚、遂に苦渋のうちに敗北宣言をしますが、銅伯はなお嵩にかかって沢庵を苦しめます。果たして沢庵に逆転の秘策はありや?

 自分自ら般若侠を連れてこようと言う沢庵の提案を一言で退けた銅伯はおとねさんを使者に立てるよう命令。自分が有利に立ったからといって些かも油断せず、追求の手を緩めない銅伯はえらく憎たらしいですが、確かにこれは正しい判断ではあります。しかしおとねさんがにせきちがいである根拠として、「狂女の気絶なぞ初めて見たわ」などと宣う虹七郎ですが、きちがいは気絶しないのか…正直眉唾ものですが、この人たちが言うとイヤな説得力があります。

 それはさておき、さらに憎々しげに沢庵をいたぶる銅伯は、般若面のみならず堀の女たちまで差し出すよう命じます。会津のほりにょが五人になっていることまで見抜いた銅伯、その慧眼には恐れ入りますが(猪苗代湖での戦いの様子から生き残った人数を割り出した?)、「だまれ! そちらの言い分は聞かぬ。ただ当方の言い分を通すのみ!」という大悪党ぶりにはハラワタ煮えくりかえります。前回もそうでしたが、本当にせがわ先生の手になる銅伯は、実に一つ一つの表情が憎々しげでよろしい。

 そしてなんかもうヨレヨレになって連行される沢庵とおとね。銀四郎に抱きかかえられたおとねさんが、銀四郎に報復のフランケンシュタイナー(未遂)――いやこの場合は逆女人袈裟と評すべき乎――を仕掛けるという一幕はありましたが、なるほど、女人袈裟はやはり鷲ノ巣廉助なみの肉体あってこそなのだな…と変なところで感心してしまいました。いや、バランサーとしてお鳥さんの存在が大事ということか…(色んな意味で失礼です)
 しかし原作のように直接的にセクハラを仕掛けたわけではないのに、漫画では一方的に攻撃された銀四郎ナサケナス

 その後も続くおとねさんの快進撃。「火が燃える」とか「空が落ちる」とか(言ってねえ)わけのわからないことを歌いながら、胸をはだけた上に何だか不思議な角度に腕を曲げた何とも曰く言い難いスタイルで暴れ回ります。日常生活で出会ってしまったら、まず間違いなく目を合わせないようにしてしまいそうなおとねさんの痴…いや狂態、気違い真似して気が触れた(クレクレタコラ)というわけではないでしょうが、何だかもの凄い痛ましさです。

 しかし本当にマズい様子なのは沢庵和尚。何だかもの凄い勢いでヨレヨレになってしまったその姿に、お世話係も心配になるほどで…銅伯はこれもどうせフェイクだろうと、極めてまっとうな判断をしますが――
 が、沢庵和尚、ついに食事を運んできた小姓から刀を奪うという暴挙に出ます。もちろんいくら刀を持ったとて、剣禅一如の極意に達しているとて、所詮は老人、その気になれば取り押さえるのはたやすく思えますが、しかし何かの拍子に「つかう」→「つるぎ」→「セルフ」でもされたら大事ではあります。

 なるほど、人質作戦は、考えてみれば人質に脅される相手がいてこそ成り立つもの。ここで沢庵に万一のことがあれば、人質作戦は水泡に帰すとまではいかないものの、かなり後退することになりますし、以前にも触れられていたかと思いますが、城内で将軍家の師僧が変死(殺すな)などということになれば、これは加藤家にとってはかなり洒落にならない状況になります。

 絶体絶命の窮地に、こういう切り返しがあったか――と思わず感心しましたが、しかしやはりこれはどう考えても窮余の一策。時間稼ぎにはなっても状況は好転することはないのでは、いやそれ以前に私の買いかぶり過ぎだったらどうしよう、と心配しつつ、次号に続きます。

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