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2007.09.22

「モノノ怪」 第十一話「化猫 二ノ幕」

 「モノノ怪」版「化猫」全三話の真ん中、二ノ幕の今回は、序破急でいえば破に当たりますが、破は破でも破滅の破じゃないかと言いたくなるほどのデス展開。あの人物が、この人物が、こちらの想像を上回るスピードで姿を消し、消されていくという、些か意表をついた展開となりました。

 鉄橋から飛び降り、列車に轢かれて死んだという新聞記者・市川節子。自殺として処理された彼女の死の背後に何があったのか。何故彼女は死ななければならなかったのか。そもそも彼女の死は自殺だったのか。
 地下鉄に集った、いや集められた人々の口から、その真が浮き彫りにされていくこととなるのですが――

 少年は語る。事件現場から立ち去る何者かの姿を目撃していたが無関係と思い黙っていたと。
 記者は語る。節子は地下鉄を巡る汚職で市長を追っていたために殺されたのではないかと。
 車掌は語る。何かを轢いたことには気付いたものの、猫だと思いそのまま列車を走らせたと。
 女給は語る。有名になりたい一心で刑事に対して適当に話を合わせて自殺だと証言したと。
 主婦は語る。情人のもとで節子が何者かと言い争う様を聞いていたが黙っていたと。

 一人一人が、それぞれに事件について知っていることがあったにも関わらず、それを黙っていたことにより、それぞれが結びついた果てに一人の女性の死の真相を隠蔽することとなった――現時点でわかるのはこんなところでしょうか。

 しかし、モノノケが求めるその代償は厳しすぎると思えるほどのもの。
 まるで初めから結論ありきで捜査していたかのような刑事が、ようやくたどり着いたかに見えた駅の幻影に誑かされてドアを開けたところを化猫の爪に捕らわれ虚空に消えたのを皮切りに、証言者一人一人が消されていくこととなります。
 そしておぞましいのは、それぞれが消される直前、それぞれの証言に関わる体の部位――少年は目、女給は口、主婦は耳、車掌は足、記者は全身――に耐えがたい痒みを覚えた果てに、それを狂ったように掻き毟る様。
 これは化猫の、節子の罰ということなのか――ついには薬売りを除く全員の無惨な躯と化した様が描かれますが…
(しかし少年のみ画面に映っていない女性の姿に怯える描写があったを不思議に思っていましたが、これは彼が見たものを見たと言っていなかったためだったのですね。同様に、主婦の耳にのみ「許さない…」と聞こえたのも、彼女が聞いたものを聞いたと言っていなかったからというわけで、これにはちょっと感心しました)

 しかしそれ以上におぞましいのは、パニックに陥った乗客(特に女性二人)がエゴ剥き出しで罵り合う様でしょうか。
 他人事だと思っていた事件に、それぞれの事情があって行った証言が、このような形で自分に祟ってきたら、それは確かに恐慌をきたすのも無理もない話ですが、やはり見ていてキツいことは間違いありません。
 特に旧「化猫」、「海坊主」と可愛いところを見せていた加代と同じ顔・同じ声のチヨがこうした姿を見せるのには、ちょっとショックを受けた方も多いのではないかと思います。

 さらにその上に、マネキン(=群衆)の顔のみが猫に変わったり、ピカソの絵を更にグロテスクに歪めたような壁画がでてきたり、「ヤメテ」の書き文字が画面を埋め尽くしたり――観念的な映像のラッシュが被さってくるのですから、凄まじい混沌ぶり。
 この辺りの演出には、わかりにくいという批判は当然あるかも知れませんが、しかし悪夢の奔流ともいうべきイメージの連続は、これはこれで実にこの作品らしい描写だと思いますし、ただただ圧倒されるその感覚は、個人的には決して嫌いではありません。

 しかしその狂騒が去ってみれば、残ったのは薬売りただ一人。
 本当に皆死んでしまったのか…と思ったとき、ただ一人還ってきたのは、節子の上司である新聞記者――証言をした者から消えていったことを考えれば、還ってきた記者は、未だ証言を終えていなかったということでしょうか。
 冷静に考えてみると、実は節子が殺されたと言っているのは彼一人。あるいはそこに、今回の事件の真の真があるのかもしれません。
 今回示された全員の表現を組み合わせた末に浮かび上がった節子の死の真相ですが、その組み合わせを変えれば、あるいは全く異なる真が生まれるのかも知れません。

 と、こう考えてみると、節子が、化猫が関係者全員を集めて証言を行わせているのは、真実を誰かに明らかにしたい、知ってもらいたいというよりは、むしろ自分自身が真実を知りたい――つまりは自分自身が何故死んだのかわかっていない――ように感じられます。
 今回の冒頭で、薬売りが化猫のことを「真を求めるモノノ怪」と評したのは、これを指してのことなのでしょう。これまではモノノケの内にあった真を、モノノケ自身が知らないというのであれば、これは厄介であります。

 さて、この複雑な真と理が次回大詰めでどのように語られることになるのか。
 節子の死の真相、化猫の真と理はもちろんとして、その他の様々な疑問――何故薬売りは今回のエピソードではあれほどまでに冷静なのか。本当に乗客は皆死んでしまったのか。そしてヤングガンガンの特集記事でも指摘されてしまった小田島様は今回登場しないのか。
 快刀乱麻を断つが如きスッパリとした謎解きを――そして同時に本作らしい切ない余韻を、大詰めには期待したいところです。
 とりあえず列車事故で放送中止というオチはご勘弁いただきたく。


 …しかし、今回一瞬映った節子の素顔はやはりたまきさん。ほぼ確実とは思っていましたがこれは哀しい――まあ、小田島様じゃなくてよかったけれど。


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