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2007.09.15

「モノノ怪」 第十話「化猫 序ノ幕」

 いよいよ「モノノ怪」も最終エピソードに突入。そのタイトルは何と「化猫」――薬売りの男のデビュー作である「怪 ayakashi」の中のエピソードと同じタイトルであります。
 しかしさすがはクセ球揃いの本作、今度の「化猫」の舞台は、おそらくは大正期の、それも走る地下鉄の車内。意外な舞台で、薬売りの最後のモノノ怪退治が始まることと相成ります。

 地下鉄の新路線開通を記念し、招待客を乗せて走る第一号列車。が、その列車が何かを轢いた時、一両目を残して後続車両は消滅。運転手と六人の乗客――市長・刑事・新聞記者・主婦・女給・少年――を残して、乗客たちも何処かへ姿を消してしまいます。
 運転手のコントロールを離れて列車が疾走する中、市長は開いたドアの向こうの闇に姿を消し、残された人々が途方に暮れたとき、消えたはずの向こうの車両から現れたのはあの薬売り。薬売りの言葉がきっかけとなって、この場に残された人々に、いずれもある共通点があったことが判明したものの、その間もモノノケの影は徐々に近づき――

 三話構成で余裕があってか、今回は舞台設定と登場人物を丁寧に描写することに主眼が置かれているかに思えた今回、さすがにラストエピソードだけあって画的クオリティも高く、これまでの江戸時代から一変したモダーンな世界を――もちろん「モノノ怪」チックなアレンジを交えつつも――巧みに描き出していたかと思います。
 そんな舞台に、一体何歳なのか、平然と顔を出した我らが薬売りですが、さすがに(?)マイナーチェンジ、衣装全体を黒っぽいトーンに変え、さらには指輪にピアスでモダーンさをアッピールです(でもチンドン屋とか旅芸人とか言われちゃうの)。
 そして薬売りと絡む人々は、何と元祖「化猫」で見たような人々ばかり。市長はあの諸悪の権現の旗本爺の若い頃に、女給のチヨさんは「海坊主」にも登場した加代に、その他の人物も皆、あの呪われた事件の関係者にそっくりで驚かされます。これは単なる視聴者サービスか、はたまた時を越えて怨念と因縁が作用したものかわかりませんが、同じ「化猫」を冠する物語として、心憎い仕掛けかと思います。

 …しかし仕掛けと言えば、思わぬところに思わぬものが仕掛けられていて一瞬も油断できない本作ですが、今回はそれが実に恐ろしい方面に作用していて、ホラーとしてもかなりレベルの高い作品となっております。
 特に驚かされたのは、ほとんどサブリミナル映像並みのさりげなさで挿入されている恐怖映像です。Bパート開始早々、突然の怪事に呆然とするチヨの背後、窓の外の闇に一瞬映るのは、無惨に叩き潰されたかのような市長の姿(よく見ると、血の跡がひっかき傷のようにも…)。
Bake01_3
 さらに、列車が往く先に続くトンネルの闇を写した画面で、上から落ちてくる姿が一瞬差し挟まれたのは、これもおそらくは市長…(このシーン、赤く変わった天井のランプが、猫の目のようにも見えるのがまた恐ろしい)。
Bake02_2

 どちらも本当に一瞬のことで、ほとんど自分の見間違いかと思ってしまうさりげなさで挿入された映像ですが、それがまた心霊写真的というか呪いのビデオ的と言いますか、「なんか見ちゃいけないものが映ってた!」的恐ろしさがあってたまりません。
 いつもであれば目を皿のようにして、ちりばめられた謎と伏線の数々をチェックするのですが、今回ばかりはそういう見方をしてちょっと後悔…というか、既にアバンタイトルで
「許さない…許さ…許さない…」
という、怨念にまみれたかのような女性のうめき声が流れる時点で既に俺涙目www

 と、少なくともホラー演出では、すでに現時点でシリーズ最強という印象のある今回のエピソードですが、物語自体は、序ノ幕だけあって、まだまだ全く先は見えない状況。
 しかし終盤ではこの怪事の背後に、列車事故で亡くなった女性記者の存在があること、一両目に集められた人々は、皆、陸橋から飛び降りたところを列車に轢かれて亡くなったという彼女と何らかの関わりがあったことが語られており、元祖「化猫」に比べると、怪異の根元が早くも見えてきたようにも思えます。

 しかし三分、いや一分あればそれまでの物語を根底からひっくり返ることも珍しくない(というかいつも)のが本作。残り二回…それだけの間にどこまで物語が転がっていくか。
 その物語の結末は、同時に薬売りとのお別れかと思うと複雑なものがありますが、最後まできっちりと見届けなくてはと思います。
 だから放送時間の変更とか津波情報とかはもうご勘弁…


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