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2007.10.26

「刺客、江戸城に消ゆ」新装版で登場

 先日、書店で新刊文庫を見ていてちょっと驚いたことがありました。何を驚いたかと言えば、風野真知雄先生の「刺客、江戸城に消ゆ」が新装版で再販されていたのです。
 もう六年も前に文庫書き下ろしで発売された本作は、一風変わった忍者もの。御庭番の登場によりリストラされた伊賀者が、復権のため吉宗暗殺を自作自演、これを未然に防いでみせて自分たちの価値を認めさせようとするも、そのための犯人役に選んだ忍者が意外な能力を発揮して――という、忍者もの数ある中でもかなりユニークな作品です。
 アクション、サスペンスはもちろんのこと、ラストにはあっと驚くどんでん返しもあり、私の大好きな作品ではあったのですが、まさかカバー絵も新しくなった(ちなみに新しいカバーの方が断然良いと思います)新装版として再版されるとは思いませんでした。

 風野先生については、最近かなりの頻度で書店でも作品を見かけるようになっていましたし、何よりもだいわ文庫の「耳袋秘帖」シリーズがかなり好調なようですが、正直なところ、カバーまで変えての新装版は時代小説家でも大御所クラス、文庫書き下ろし時代小説ではそれこそ佐伯泰英クラスと思っていました。
 個人的には昔から好きな作家の一人であった風野先生の、それも伝奇ものが再版されるのは本当に嬉しいのですが、まあ伝奇ものというのはあくまでもたまたま、その出版社の弾として昔書いた伝奇ものがあったということなのだろうな…と、これは素人の勝手な想像ではありますが、思っているところです(実際問題として、時代伝奇小説の、それも文庫での発行点数は以前に比べて相当下がっているように感じられます)。

 もちろん、どんな形であれ、過去の名作がこうして復活することとなったのは嬉しいお話であります。しかも、来月は本作の続編の「影忍・御三家斬り」、再来月は初文庫化の「刺客が来る道」が出るとのことで、これは出版社側も相当力を入れているのだな、と思わされます。
 最近のペーソス溢れる人情ものももちろん良いのですが、風野先生の伝奇ものの魅力も、これを機会にもっと多くの方に知っていただきたいものです。

 …mixi記事のリライトでごめんなさいね、今回。


「刺客、江戸城に消ゆ」(風野真知雄 廣済堂文庫) Amazon

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