« 「打てや叩けや 源平物怪合戦」 二つの物怪の間で | トップページ | 「天保異聞 妖奇士 奇士神曲」 獄五「神話」(その二) »

2007.11.17

「天保異聞 妖奇士 奇士神曲」 獄五「神話」(その一)

 媛の死と呼応して現れた巨大な影・スサノオ――その姿を目にした往壓の体は奇怪な竜人に変化する。これまでの戦いの中で幾多の竜を倒してきた往壓は、かつてスサノオに倒されたヤマタノオロチの化身と化していたのだ。宰蔵を取り込んだスサノオに対し、人の心を失ったまま襲いかかる竜人往壓。しかしこの戦いこそは、長英が、そして鳥居が望んだ神話の再現に他ならなかった。天津神と国津神の最後の戦いの果ての、往壓の、仲間たちの選択は――

 遂にこの時が来てしまいました。「奇士神曲」の、いや「天保異聞 妖奇士」の最終回。これにて一巻の終わりであります。
 しかし内容の方は、こちらがそんな感傷めいた想いに浸る暇もないほどに突っ走る、まさに怒濤の展開。何しろ、「奇士神曲」という物語のみならず、「天保異聞 妖奇士」という物語でこれまで積み残されてきた謎のほとんどが、ここで明かされるのだから凄まじい話です。

 長英は何のために北の果てに向かっていたのか。その長英に斬られた媛の正体は。そして、往壓を後見してきた鳥居の真の狙いは。さらには、このままスルーかと思われた、かつて西の者が口にした「八本の首」の正体までも盛り込んで描き出された物語のスケールは、こちらの想像を超えた雄大なもので、まさに物語というものの原点であり極限である「神話」と呼ぶに相応しいものであったかと思います。

 冷静に考えると、アレ? と思う点――もちろんちょっと考えれば補完できるのですが――もなきにしもあらずですが、そんなことを考える間も与えない構成の巧さと、それを物語として形作る各要素のクオリティの高さには感心しました。
 特に、物語の謎が明かされ、最後の死闘が繰り広げられる場面での長英と鳥居の対峙は、名優二人の演技合戦的味わいすらあって、もうこちらは見ていてただ唸るばかり(あの二人に叫ばれたら、どんな理屈だって納得します)。


 …そして、そんな物語の果てに往壓が選んだ道は、正直に言えば、あまりに意外なもの。この選択と、それが生み出した結末は、ネット上を見ても賛否両論――しかし思ったほど後者が多くなかったのは、さすがにここまでこの物語を追ってきたファンだと感心――ですし、それも無理もない話かと思います。
(これは全くの想像ですが、予定通り四クールやった上の最終回であれば、もう少しだけ違った形になったように思えるのですが)

<長くなりますので明日に続きます>


「天保異聞 妖奇士」第八巻(アニプレックス DVDソフト) Amazon

関連記事
 今週の天保異聞 妖奇士

 公式サイト

|

« 「打てや叩けや 源平物怪合戦」 二つの物怪の間で | トップページ | 「天保異聞 妖奇士 奇士神曲」 獄五「神話」(その二) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/17095515

この記事へのトラックバック一覧です: 「天保異聞 妖奇士 奇士神曲」 獄五「神話」(その一):

« 「打てや叩けや 源平物怪合戦」 二つの物怪の間で | トップページ | 「天保異聞 妖奇士 奇士神曲」 獄五「神話」(その二) »